空虚 ページ9
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こんな不思議な関係、
世間一般的にはあり得ないし
良い歳した男女が何やってんだ
なんて野次が飛び交ってきそうなことでもある。
でも不思議と私は彼を受け入れてしまって今に至る
海斗が私の家に突然来る日もあれば
一週間音沙汰無しなんてこともざらにある。
かと思えば、1ヶ月くらい私の家に
居座ることもあるし
ふらっと来てふらっと帰る
そんな猫みたいな彼を今日も私はただ待つ
彼のネックレスが光っているうちは、
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海斗と出会ってかれこれ半年はたつ
もうすっかり季節は冬で、時間がたつのは
早いな、なんてしみじみとする
私は今だに海斗のことをほぼ知らない
突然消えたり現れたりするのにはもう慣れたけど、
この間までは茶髪だった髪の毛が
急に金色になってたり
はたまた赤色になってたり
まるで手品みたいで驚くことが多々ある。
今もあの出会い系は使ってるのとか
友達の家って男の子?女の子?とか
バイトはしてるのとか
聞きたいことだってそりゃ山程にあるけど、
私と海斗の関係性が曖昧すぎて
そこまで踏み込む勇気さえない。
友達っていうのも違うだろうし
恋人とも全然違う。
お互い身体を求めることはあっても
そういうお友達って訳でもないし
あと気づいたことがある。
海斗は絶対に私の家に物を残していかない
泊まるときだって、小さいトートバックの中に
着替えやら歯ブラシやら何やら色々と詰め込んでくる
一度だけ、聞いたこともあった
「ねえ海斗それ毎回持ち歩くの大変じゃない?
うちに1セット置いておけばいいのに」
倉「あー、まあうん、考えとくわ」
なんて軽くあしらわれてしまった
『 俺Aちゃんの首輪ついてるから』
出会った頃に海斗が言っていた
確かに、今でも海斗はそのネックレスを
つけたままでいる。
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逆に言えば、今の私たちを繋ぎとめているのは
皮肉にもそのネックレスだけだった
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作者名:もふ子 | 作成日時:2021年1月11日 23時