松尾君の正体

６ ページ6

.









「あ！あのシロクマ太陽にそっくり」



「何それ(笑) じゃあ隣にいる小さいシロクマはAやな」


「私もかい(笑)」









手繋ぎも心なしか馴染んできて

笑いが絶えない私達







そのあとも


乗馬体験もして、

園内も三周くらいして、

アイスクリームも食べて、

お土産も見て、



本当に充実すぎる時間を過ごした









あっという間に閉園時間になり、


太陽の提案で帰り際にカフェに寄ることになった









「A、今日は1日ほんまにありがとう。お礼にこれ、」




「え、なになに」





手渡されたのは、
さっき行ってた動物園のロゴが入ったラッピング袋




開けてみると
中にはシロクマのぬいぐるみが入っていた








「可愛い！本当に貰って良いの？」




「当たり前やん。でな、俺の分もあるねん」





太陽は じゃーん って言って鞄から
同じシロクマのぬいぐるみを取り出した





「お揃いだ(笑) でも何でシロクマ？」




「それは… Aがさっきシロクマと俺が似てるって言うてたから」









あぁ 思い出した。


動物園にいるときに
シロクマに似てるって言い合ったのを。


ほんの些細な会話だったのに
太陽はちゃんと覚えてくれてたんだ。








「そっか。じゃあ、このぬいぐるみを太陽だと思って大切にするね(笑)」






私がそう言うと
太陽は嬉しそうな、悲しそうな顔をして
うん、とだけ呟いた。









.

７→←５

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す