恋は盲目《QK》

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乾「あの時『大人になるまで私のこと好きだったらね』って言ってくれたじゃん」

「………よく覚えてるね…」



東大生の記憶力ってすごい。いや、私も東大生なんだけども。

確かに言った。言ったことは認めよう。

でもそんな小学生の「大きくなったら結婚しようね」を本気で大人まで覚えている人なんて居ないだろうな、くらいの軽い気持ちで返していたんだよなぁあの頃の私は。

それがこんな………



乾「Aちゃんは小学生の俺に嘘ついてたってこと？」

「あー、いや…その…」

乾「俺は大人になったし、あの時からずっと好きだよ」



こんな急に再会したイケメンの年下に言い寄られるというイベントを起こすなんて思わないじゃん。普通。


ーー

と、約束通りに結婚しようといきなり言い出した晃樹くんvs未だに状況がよく分かっていない私の押し問答が続いた末に、私の本当に用事のあった相手である須貝が帰ってきたのだ。


須「Aと乾知り合いだったの？」

乾「婚約者です」

須「はぁ！！？！」

「まって須貝、違うから。従姉妹だから」



そうです。私は須貝と同い年の大学院生。そろそろ大台の30を目前にしているわけで。

親戚たちの圧力を見て見ぬふりを続けてここまで来たが、私は結婚どころか恋人すらいない。

それでいいやと思っていたが、この歳になって結婚とか彼氏とか、いいなぁとか思い始めている頃だった。

いや、そりゃまあ思いましたよ。

でもこれはなんか違うじゃないですか神様。

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