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「これはこれは、お嬢さんうちの子が済まないね」
「ｱｯいえ･･･。こちらこそすみません。」
それでは失礼します、と早口気味で伝えてさっさと踵を返す。
何度も言ってるけど、私は高専とかに通って、キャラクターとｷｬｯｷｬｯｳﾌﾌしたいわけでも、みんなで呪霊狩ろうぜ！ってしたいわけでもないんだよ。多分脹相お兄様を守るためなら例え高専に通ってても裏切るしね、私。
まあそれはいいとしてだ。
私は基本的に、Yes キャラクター No タッチなのだ。
いいですか？Yes キャラクター No タッチ！
壁とか床とかになって推しを見ていたいのだ。
それを辞めて、
出来ればみんな仲良しで平和な世界になってほしい。
あれ、話逸れたな。まあいい。
とにかく何が言いたいって、私は何があってもキャラクターと関わりたくないのだ。
家に祀られてる宿儺様と隣の席の恵くんはもう諦めるしかない。だって家だし、学校は変えられないし。
でも、それ以外はどうにかできる。
姿だけ見てピャっと逃げりゃあどうにかなると思う。
「(まあ、そんなん考えてるから遭遇して会話する羽目になったんだけどね
今はとにかくこの場を去ることだけを考えて･･･)」
「ああ、そうだ。お帰りになる前に1つ聞きたいんだけど」
「･･･なんでしょう？」
さっさと去ろうとしてる私に対してえらく楽しそうな声の夏油さんが話しかける。
嫌々ながらゆっくり彼の方に振り返れば、
「(ああ、最悪だ。
なんで私は今日東京なんぞに来たんだ。
大人しく神社で宿儺様とお話していればよかった。
そしたら、)」
「これ、見えてるよね？」
「まマ゛ぁ？げんキぃ？」
「(彼と出会うことも、彼に話しかけられることもなかったのに)」
夏油傑が私に見せつけてきたのは、恐らく4級にも満たない蝿頭。
夏油傑は、瞬く間に蝿頭をヤベエ色の玉にして、そのまま口に放り込んだ。
ゆっくり、確実に嚥下した彼は、にっこりと嫌味なほどの笑みを浮かべてこう言った。
「ちょっと、着いてきてくれるかい？」
嫌だ、行きません。そんなことを言わせないほどの圧を感じる。
いや、言ったとしても無理やり連れていくつもりなのか。
ああ、クソ。ほんとに家にいれば良かった。
なんて、脳内ではタラレバばかり飛び交う。
「･･･わかりました」
震える声で、返答した。
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作者名：moe | 作成日時：2021年1月31日 4時
