か す み ば し ら。

霞柱慰めたい ページ38

違和感を感じた。


Aはいつも通りの笑顔だったけど、どこかぎこちなくて、違和感。
どうにも気になった。

それとなく聞いてみても、「なんでもないよ」と返されるだけ。
絶対何かあったもん……

でも僕は疎いから、分からない。どうにももどかしい。
もういい、聞く。

「A、俺ってそんなに頼りないかな」
「え、」

頼られないことが少し、不満だった。
笑顔が消える。僕は出来る限り優しく抱き締めた。

「理由は話さなくてもいいんだよ、でもね」

Aは少しだけ震えていた。
それを宥めるように、とんとんと軽く背中を叩く。

「辛かったらいくらでも泣いていいんだよ、僕はAが怒っても泣いても幻滅なんてしないから。僕はずっと君の味方だから」

ね、と優しく優しく語りかければ、Aが、ぎゅっと胸に顔を埋めてきた。

「っ……ぅ…！」
「よしよし、」






「……ご、めん……迷惑かけちゃった」
「大丈夫だってば。迷惑じゃないから」
「……優しいね、無一郎はさ」

ぐすん、と鼻をすする。

「ごめん……今はあんまり理由は話したくないかも」
「大丈夫」
「今度、ちゃんと話すから…」
「辛いなら話さなくてもいいのに」

Aは悲しげに笑った。

夜風が二人の頬を撫でていった。



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