か す み ば し ら。

名前で呼ばれたい ページ27

＼かまぼこさんリクエスト／
なんか違う感じにしちゃった



時透邸。
暇なら(暇じゃなくても)お互いの家へ行く。
今日も何時もの如く、用は無いが来ていた。

縁側に座ってほうっとしていれば、突然視界が遮られた。

「ぅ！？」

変な声が出る。乙女らしからぬ声だ。なんだ、う、って。
混乱していると、耳元で

「だーれだ」

と呟かれる。
……時透君でしょ……？

「と、時透君」

正解。……の筈だった。
なんか意地悪な気分なのか、視界が開けることは無い。

「不正解…」
「えっえぇ、なんで…！？」
「何処の時透か分からないでしょ」
「はへ……」

何処の時透って……ここの時透君でしょ……？
すると、焦れたような声色で囁いた。

「下の名前で呼んで」
「……ん…？」

下の名前。無一郎。……無一郎呼びをしろと？

「む、無一郎……？」

目を覆っていた手が退く。そして私の肩口に顎を乗っけるときと＿＿＿無一郎。

「正解……」

甘えるように、すりすりと頬擦りしてくる。可愛さが色々とヤバい。

「……今度から、無一郎って呼ばないと返事してやんないから」
「へ……」
「僕だけ名前で呼ぶって、なんか嫌だったから…」

むぎゅ、と私を後ろから抱き締める。
どうしようもなく愛しい。

「む、無一郎……」
「ん、なに？」

満足げに腕の力を強くする。

「……何でもない……」

太陽も嬉しそうに輝いている。

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