か す み ば し ら。

仲直りしたい ページ26

私達の喧嘩は一日で終わる。


どちらかが必ず折れるのだ。
今日は少しだけ喧嘩した。

でも謝んないし…今回はもう、時透君が悪いもん。ふん。
二人離れて、部屋の隅っこへ退避した。


暫く沈黙が続く。
お互い背を向けたままなので、何をしているか分からない。
時透君のことだ、また何か考え事しているのだろう…

私は私で、自分の髪の毛をいじくる。


…………
つまらない……

時透君不足だ。
でも折れるわけには……
でも……

顔を伏せる。

むむむ……

散々悩んでいたら、背中が重みを受け止める。

「わ……」

ぎゅむ、とお腹に腕を回され、肩口に顔を埋められる。

「………は、ぁ……」

すり、と頬擦りされる。さっきまでの小さな怒りが一瞬で静まり、湧いたのは愛しさ。

「……時透君…ちょっと…さっきはだいぶ、口悪くなっちゃって…ごめん、傷つけたかも」
「……ううん、大丈夫……こっちこそごめんね、A…酷いこと言った」

……仲直り。この二人は唐突に喧嘩して唐突に仲直りする。

しゅんとした声色。

「……時透君、」
「なに？」
「私達の喧嘩ってさ、暴言は吐くけど嫌い、は出ないよね」
「……嫌い、なんて言ったら……いくら嘘でもちょっと、傷付く」
「やっぱり仲良しだね、私達」

喧嘩のあとのこの時間が、わりと好きだったりする。

「……やっぱ、好き。大好き……さっきの暴言無しね」
「僕も取り消す……ちゃんとAの頭は足りてるよ」
「……う、うん」

頭足りてないんじゃない？って言ったこと気にしてるのか。可愛い。

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