か す み ば し ら。

霞柱とは恋仲ですので ページ23

＼かまぼこさんリクエスト／



「好き…好きだ、A！！」
「…はぁ」

必死なのにここまで気の抜けた返事を返されるとは、相手も可哀想だ。
路地裏に連れていかれて、私のことを褒め称えて、これだ。

私は首をかしげた。

「私がお付き合いしてるのは知ってるかな」
「知ってる…でも振り向かせてみせるから！霞柱様とは＿＿＿」
「ごめん、多分一生かかっても無理だと思う」

私が時透君以外になびくとでも？

「でも！俺はずっと前から君を見ていた！君を想ってた！！」
「時透君もずっと一緒にいたけど」
「この思いだけは霞柱様に負けない！」
「…はぁ、そうですか…」

残念ながら私の気持ちは少しも動かない。
うーん、傷付けないように断りたい…

「だから！！」
「…おー」

ぎゅ、と手を強く握ってくる。
対処法を探していると、

「……何してるの」

最愛の人の声。
右を向けば時透君。

「時透君！」
「かっ、霞柱様…！」
「何してるの？何でAの手握ってるの？」

怒ったように捲し立ててくる。

「こ、これは、あの」
「やっぱりどうでもいいや…忘れるし。さっさと手離してくれないかな」

これは怒ってるな。
ざ、ざ、と此方に寄ってくる。

「この人は君に何をしたかな」
「……愛の告白を……」
「告白…ふーん」

不満そうに、私の手を握っていた手を叩き落とした。
代わって時透君が手を握る。

「行くよ、A」
「……んえ？」
「ま、待ってください霞柱様！」

私も焦るし平野さん(告白の人)も焦る。
涼しげに私の手を引いて行く時透君を平野さんが呼び止めた。

「まだAから返事を…！それに思いを伝えきれていない！」
「どうでもいいこといつまでも喋らないでよ。どうせAは断るんだし、意味ないから」

なんだか怒ってるみたいだ。
それでも食い下がる。

「違う…！待ってください、話を」
「君が言えることなんて、好きだ、愛してる、付き合ってくれ、とかそれぐらいしかないでしょ？」

べ、と舌を出して私を連れ去った。

「ご、ごめんなさい平野さぁん…」

横抱きにされつつ平野さんに言う。

「…構わないでよ、あんなやつ」

そう呟いて、腕に力をこめた。

霞柱は見ている→←ただ見つめていたい

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