ハンサムな君に (ページ50)

今日:22 hit、昨日:28 hit、合計:227,884 hit

After Story～2～ページ50

・

8月後半。

いま私がいるのは

海斗くんのおうち

「寝室が間接照明だけって
……芸能人っぽい」

………の、寝室。

想いが通じた直後、海斗くんもライブがあったり
私もはじめての「夏休み補習」の洗礼を受けて
なんだかんだゆっくり会う時間も取れず
付き合い始めて約1ヶ月が経った今日、

次の日が休みなのが重なり
＂うちに泊まりにおいでよ＂と言われ

今に、至る

社会人になってから彼氏はいなかったけど
大学時代はそれなりに恋愛もしてきたわけで

こどもじゃないから、これがどういう意味かなんて
少しはわかっているつもりだ

海斗くんはお風呂に入っていて遠くの方で
シャワーの音が聞こえる

「眠そうだね、先に寝室行ってなよ」

って言われて来たはいいけど、

「寝られるわけ、ないじゃん………」

そうつぶやいてしばらくして、

「起きてたの」

海斗くんが部屋に入ってきた

「あ、いや…
せっかくのお泊まりだから、起きて…た」

自分で言ってることが恥ずかしくなりつい俯く

「A」

いつのまにか隣に座っている海斗くんに呼ばれ
顔を上げると優しく唇が重なる

直後、視界がガラリと変わり天井と海斗くんで
いっぱいになった

何度も優しく名前を呼ばれ
おでこ、頬、そして唇。
愛でるように優しく唇を落としてくれる

久しぶりの幸せな感覚に思わず体が強張る

「……こわい？無理はさせたくない」

「怖くはない、全然。ただ…」

「ただ？」

「改めて言うことでもないんだけど、
顔が綺麗すぎて…心臓持つ気がしない」

「ふは(笑)なにそれ…じゃあ、」

＂いっぱい見て、いっぱい触って慣れて＂
と耳元で囁かれると

さっきとは比べ物にならないくらい
深く、甘いキスを落とされる

「んっ…海斗く、」

「海斗…海斗って呼んで」

そう言われ向こうのペースなのがちょっと悔しくて
首に手を回し私の方に引き寄せる

バランスを崩した海斗くんに
今度は私が唇を重ねる

「…海斗」

首筋を撫でながら名前を呼ぶと

「……煽ったの、Aだから」

そう呟き間接照明のスイッチに手を運ぶ

照明が消え

2人の手が重なると

甘くて長い、夜の始まりだ。