ハンサムな君に (ページ25)

今日:6 hit、昨日:28 hit、合計:227,868 hit

24 ページ25

・

………しまった。

折り返しできた時のことを考えていなかった

自分の詰めの甘さに呆れつつ着信画面を見つめる

迷った時の解決策はひとつ。

「……本能に従うのみ！！！」

意を決して応答ボタンをタップする

「……もしもし」

「Aさん？……海斗です。宮近です。」

「電話、ありがとう。
俺正直…かかってこないかと思った」

「迷いました。めちゃくちゃ。
YouTube観て、観れば観るほど住む世界が違うって。
ほんとは関わるべきじゃないって思いました。」

「うん。」

「でも、」

「でも？」

「私が話してるのは＂アイドルの海斗くん＂じゃなくて、あの日、私に＂自分のやってることを信じろ＂
って背中を押してくれた優しい海斗くんだから。
アイドルだから、とか関係ないなって思って」

「………うん。ありがとう。
俺も、アイドルっていうなかなか表立って私生活を
見せることができない職業をやってるけど、その上で
1人の宮近海斗としてAさんと話したくて。」

「最近、生徒と少しずつだけど、うまく
関わっていけてる気がするんです。
海斗くんのおかげ。ありがとうございます。
ずっとお礼言いたくて。やっと言えた」

「そっか。よかった。
それはAちゃんが頑張ってきた証拠だよ」

あ。名前……なんて、中学生みたいなことで
ドキッとしてしまう

「ごめん、ついAちゃんって呼んじゃった。
……呼んでいい？」

「もちろん！私も敬語やめていい？」

「もちろん。……なんか初々しいね？」

ぎこちない新学期のような会話に
思わず2人とも笑いが出る

「ねえ、Aちゃん。」

ひとしきり話したあと改めて名前を呼ばれる

「また2人で会いたい。
今度は偶然とかじゃなくて、ちゃんと」

「ちゃんと、Aちゃんに会いたい」