センパイ。 (ページ11)

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宮近side

「どんな気持ちなの？」

「どんな、って」

そう言いかけると
机に突っ伏していた松倉が勢いよく顔をあげる

「え、やっぱ！？やっぱそうだよね！？！
Aちゃん、あのちゃかの、」

「馬鹿、声でけーよ」

俺たちは授業ないだけで
今は普通に授業があってる時間だから
ほとんど人はいないと分かっているけど
何となく聞かれたくなくてあたりを見回す

「どんなも何も、
何か思うほど当時あの子のことを
知ってたわけじゃないし。」

「結局、告白しなかったんだっけ？
あー…さっきの起きあがったので頭痛え」

＂やっぱ今日のサークルの飲み会休もっかな＂と
ボヤく松倉を横目に話を続ける

「サッカー部と陸上部が同じグラウンドで
そこで見かけるくらいだったし。
……そもそも一目惚れとは言っても、
そのあと人柄を知れるほど喋ってないし。
体育祭で一瞬、喋ったくらい」

多分向こうにとっては、

＂トリプルカイト＂のうちの1人、ってだけで

あんな一瞬の出来事わざわざ今も覚えてるわけなくて

「だから、好きとか言えるレベルでもなく
そのまま高校卒業した、ただそれだけの話。」

別に間違ったことや嘘は言ってない。