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髪を切った、なんとなく。

本当になんとなくで、理由もない。



ごっこ遊びの開始から1年が経つわけだが、その頃から伸ばしていた髪が最近邪魔になってきたのだ。




あの夢を見てから数日。

特になんの面白みもなく 時間だけが過ぎていく。


そのうち、魔法使いのかけた“ 青春 ”という名の魔法も解けてしまうかもしれない。


「なあ、俺 シンデレラ見つけたかもしれへん」

「え まじ? どんな子?」

「いっつも俺のこと見とる子」

「多すぎて絞れないんだけど」


「絞らせたらアカンやろ」



どうやら、王子はシンデレラを見つけたらしい。


隣のクラスの可愛い子かな、それとも同じクラスのちょっと大人しい感じの子かな。

誰だろう と考えていたら、彼が目を丸くしてこちらを見ていた。


「なに、なんかついてる?」

「いや その髪、どないしてん」

「ああ、これ? なんか邪魔かな〜って思って」

「軽いな!?」


髪は女の命や言うやろ、なんて心配しているのか なんなのか。

その声がなんだか、少しくすぐったい感じがする。


「そろそろ終幕が近づいてきた頃なのかなって思って」


これは嘘、宮から逃げるための口実。

ただ、いつかこういう日が来るだろうとは思っていたし あまり驚くこともなかった。


シンデレラを見つけた王子はこれから、ガラスの靴を手に 彼女を手に入れなければならないのだ。

私はそれを黙って見ている従者に過ぎない。



そのはずなのに、心は正直で。

彼の隣を譲りたくないって気持ちが膨れ上がっていく。


今にも破裂しそうなそれは、シンデレラが誰なのかを知った時に きっと爆発してしまうだろう。

身体が引き裂かれるような痛みに襲われるのだろう、多分。


「放課後、部活ないねん」


だから 放課後に告白しようと思ってる、だなんて。

そんな風に やけに真剣な面持ちで言われてしまったら、私はなんて返せばいい?


「報告、よろしくね」


私はちゃんと笑えていただろうか。
宮に想いを悟られなかっただろうか。


「待ってるから」


どうせならフラれてしまえ。


ぎゅっと心臓を掴まれたような感じがした。



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夢花 ゆめいろ星(スター)の夢花(仮) - なんか知らないけどこういう系の作品見ると大抵作者がモノクロ様w今回も「おぉ!モノクロ様!!」なったwww嬉しす。こういう書き方神秘的で好きなんだよなぁ。勿論長編のやつも大好きだけど。こういうのたまに見ると楽しいw (2018年4月25日 11時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
カレー@ナッポレオンが相棒(プロフ) - 初コメ失礼します....!ずっと前から思ってたんですけど、モノクロさんの小説の書き方が凄く凄く好きです…()今回も最高でした!お体に気をつけて、これからも頑張ってください(*´-`) (2018年4月22日 22時) (レス) id: 7750765a54 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:モノクロ | 作成日時:2018年4月22日 19時

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