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ガラスの靴がない。
「は?」
訊き返す私に彼は続ける。
「
まだ、そんなものにこだわっているのか。
その言葉を無理矢理飲み込んで、彼を見た。
「ガラスの靴なら、彼女達は既に履いてるでしょ」
「へ?」
「シンデレラがガラスの靴を落としたのは 王子と結ばれるためだと思う。
だから、ガラスの靴は宮への好意 って認識だったんだけど」
「ほー」
私なりの解釈に納得したような声を上げる彼。
「ほんなら、灰被りは?」
「ん?」
「アンタはガラスの靴 あらへんのやろ?」
そうだった、彼はこういう奴だった。
不思議そうな顔をしてるくせに、私を逃がしてはくれない。
確信犯的発言に 少し、ほんの少しだけ動揺する。
「……私には裸足が相応しい」
「裸足の意味は?」
「そんなのないよ」
そう、ない。
友人だからとかそんな理由いらないから、ただ あなたの隣にいさせて。
「従者にも靴は必要やろ」
「どんな靴?」
「ローファーとか」
「歩きやすそうでいいですね」
だんだん会話が成り立たなくなってくるのを感じて 頭を抱えた。
宮侑ってこんな奴だったっけか。
「とにかく、私は裸足なの」
「灰被りはシンデレラにはなれへんのか」
「そうだよ」
予鈴が鳴り響く中 宮はじっと私を見つめていた。
逃げるな、と言われているようだった。
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夢花 ゆめいろ星(スター)の夢花(仮) - なんか知らないけどこういう系の作品見ると大抵作者がモノクロ様w今回も「おぉ!モノクロ様!!」なったwww嬉しす。こういう書き方神秘的で好きなんだよなぁ。勿論長編のやつも大好きだけど。こういうのたまに見ると楽しいw (2018年4月25日 11時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
カレー@ナッポレオンが相棒(プロフ) - 初コメ失礼します....!ずっと前から思ってたんですけど、モノクロさんの小説の書き方が凄く凄く好きです…()今回も最高でした!お体に気をつけて、これからも頑張ってください(*´-`) (2018年4月22日 22時) (レス) id: 7750765a54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モノクロ | 作成日時:2018年4月22日 19時