灰被り【宮侑】

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シンデレラの座を狙う輩は大勢いる。

可愛い子、綺麗な子、優しい子。



みんな王子様に絆されているのだ。


へらへらと薄っぺらい笑みを浮かべては、女子を虜にして。

興味のあるうちはべたべたとくっついて つまらなくなったら剥がれて。



掴みどころのない性格だから、モテるのだろうか。

それとも、彼に惹きつけられるものがあるのか。



「よお、灰被り」

「遅いよ。あと5分で昼休み終わるじゃん」



宮侑 もとい王子様は偽りの笑顔で答える。


「シンデレラもどきに呼び出されてなあ」

シンデレラもどき。

そう揶揄されたのは 彼に告白した女の子である。


「へえ、結果は？」

「わかっとるくせに」


私の保冷バッグから抜き取った保冷剤を弄(もてあそ)びながら 視線を合わせてくる彼。



……ああ、君のそんなところが苦手だ。


「フッたんだ？」

「まあな」


わかりきっていたことでも、ほっと息を吐いてしまう私がいる。



この想いも いつかバレてしまうのだろうけれど。



今は君の友人(従者)として 傍においてはくれないか？



私の声は宮に届く前に、掻き消えた。


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