ライラックの花束を (ページ50)

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海斗といる時の居心地の良さは

あくまで＂幼馴染として＂のものだと思っていた

いや、正確には今でもそう思っている

だけど

高校の時やこの間のような見たことのない表情や、

誰よりも私を見ていて理解して

その時、私が欲しい言葉をかけてくれる

そんなところが私は好きで、

ずっと海斗と笑い合えればいいのにと

大学で離れるのがこんなに寂しいのかと思っていた

それはどうやら

今までみたいな＂幼馴染として＂ではなく、

ちゃんと＂好きな人として＂みたいで。

「付き合ってる人に気付かされるなんて…

どこまで私は自分勝手なんだ」

恋の瞬間はとても単純で

一度意識をしてしまうと

どうやらずっとその人のことが頭から離れないらしい

でも海斗は？

いつも冗談だと言ってなかったことになっているけど

本当に海斗は幼馴染としてしか
私を見ていないとしたら。

涼太は素直に幸せになれと言ったけど

この居心地の良い関係を

昔からの関係をいざ壊すのには
とても勇気があることだと気付く

想いを伝えるか伝えないか

どちらの答えを出すにしろ
タイムリミットは近づいていて。

社会人になったらもっと会えなくなる

そのタイムリミットまであと1年とちょっと。

大学最後の1年が始まろうとしていた