ライラックの花束を (ページ35)

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「A、看板の前で写真撮ってこいって
母さんがうるさくてさ。いい？」

「もちろん！めちゃくちゃ笑顔で撮ろ(笑)」

春。ついに大学生になり今日は入学式。

と言ってもこの大学の附属の高校に通っていたから

いわゆる内部進学であまり新鮮味はなく。

それでも、初めて身に纏うスーツに少しだけ

緊張と楽しみで心躍らせていた

「せんぱい！俺もやっと大学生です！
スーツ似合ってますか？」

「中村くんスタイルいいからね」

「似合ってるってことですよね？
もしかして俺のこと好きになりそうですか？」

「なんでそうなるの？ならないから！」

写真を撮っている近くで
うみと知らない女の先輩が話しているのが聞こえ
噂の猛アタックしている先輩かと考えていると

海斗が目の前で写真を送信する

「これ、Aのお母さんにも見せといて」

「分かった、もう一人暮らししてるんだよね？
片付けちゃんとしなよ！」

「まだ綺麗だわ、さすがに！」

大学生になって

違う学部に通うことになって。

はじめてここまで海斗と別々になるなと

少しだけ寂しくなる

「そんな悲しそうな顔すんなって(笑)
キャンパス同じだから見かけたら声かける」

「ウザいくらい絡んできそう(笑)」

不安を消し去るように海斗が笑うから

何も不安なことはないと大学生活が幕を開けた