ライラックの花束を (ページ32)

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季節は過ぎ

高校3年生の夏。

私は高校最後の演奏会も終えて

海斗にもらったキキョウの一輪挿しの水を換えていた

「海斗くん一輪挿しなんて
今回はえらく大人なチョイスね」

水換えをする私の横でお母さんが言う

「誠実さを感じる音だったから
花言葉＂誠実＂のキキョウらしい」

「毎回よく見つけてくるわよね
花言葉なんて小学校の時2人で
ちょっとハマったくらいじゃない？」

「なんか、花屋さんにそういうのに詳しい
大学生のバイトの人がいるんだって」

連れて行って欲しいと言っても
毎回、今度ねとはぐらかされることを思い出し
少し腹が立ってきた。

「そういえば海斗くん大学は？
そのまま内部進学？」

「…って聞いたけど、ほとんどそうじゃない？」

高校3年生の夏。

いよいよ大学の進路を決めなきゃいけない

そんな時期になっていた