ライラックの花束を (ページ13)

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「何してんの」

「いや、俺もゴミ捨て当番で
倉庫から出ようとしたらその…俺の名前聞こえて」

「隠れてたの？(笑)」

「うるせーな、どんな顔していいか分からんじゃん」

「うける(笑)モテモテアイドルの
トリプルカイトがそんなんでどうするの」

「アイドルじゃねーよ(笑)」

「アイドルだよねってさっきの子達言ってたよ
うみとかほぼ毎日呼び出されてんじゃん」

「当の本人は1人に夢中だけどな」

ゴミを捨て2人でゴミ捨て倉庫から出て足を進める

この状況も見る人が見れば羨ましいんだろうか。

1年生の女の子たちの話を聞いてから
今まで気にもしてなかったことが気になり始める

「…Aはさ。」

無言で歩いていた海斗が口を開く

「うん」

「嫌じゃないの、なんていうか、
幼馴染がキャーキャー…言われるの」

「自分で言うんだ(笑)
んー、別に嫌じゃないよ。むしろ誇らしい
でしょーー、私の自慢の幼馴染！って感じ。」

「自慢の＂幼馴染＂ね」

幼馴染、を少し強調していた気がするけど

理由も分からないので特に触れることなく続ける

「逆に私が嫌がってるって何で思ったの」

「いや別に……ヤキモチ、みたいな？(笑)
昔から知ってるのは私なのにぃ～！って」

さっきまで少し固い顔してたのに
私の真似をする海斗は
いつものふざけてる海斗に戻っていた

「それ私の真似？喧嘩売ってる？(笑)
別にヤキモチとかないよ。
＂海斗は大切な家族みたいな存在＂だからね！」

笑顔で言った途端、
掃除時間の終わりを告げるチャイムが鳴り響く

「やば！急がなきゃ！！海斗置いてくよー？」

駆け足で教室に向かう私の後ろで

海斗が複雑そうに切ない笑顔を浮かべていたなんて

どうしてそんな表情をしていたかなんて

私には知る由もなかった。