＃こえをたよりに ページ11
Koji side*
キンキンに寒いはずの２月にしては太陽が顔を出してぽかぽか陽気の昼下がり。
授業の空きコマで暇を持て余すことになった僕は
３年生の必須授業を受けるふっかさんとしょっぴーを待ちつつ日向ぼっこをしている。
あのふたりには「安全な場所にいろ」とか「俺らと一緒に授業受けろ」とか言われたけど、
３年生の授業は難しくて退屈やし、
せっかくこんなに天気いいねんから太陽の光を浴びずにはいられへん訳で。
ふたりの反対を押しきることに珍しく成功した僕は、
メガキャンパスのこの大学内でも正門から一番遠くて人気も少ない芝生広場におる。
マフラーに顔をうずめても、肌に触れるのは冬の風で。
空気と風がキンと冷たい感覚、春にはまだまだ遠いんやなぁとしみじみ思う。
風の温度を感じられるようになったんはいつからやろう。
はっきり覚えてないけど、目が見えなくなってからってことは分かる。
あえてベンチではなく芝生に座って草を指先に触りながら、目をつぶった。
道を歩きながら喋る女の人が２人
遠いグラウンドで練習してる野球部
すぐそばにある木でひとやすみしてる鳥の声
ふと集中すると色んな「音」がきこえてくる。
この場所でひとりで過ごすのは初めてやけど、
なんかいいなぁ。この感じ。
ひとりでおるのは寂しいはずやのに
ここはどこかに誰かがおることを「音」で感じるれるから、全然寂しくない。
どこかで誰かが楽しく健康に過ごしてる。
…僕も、一応健康やけど。
「…人よりちょっと、視力が悪いだけや。」
そう呟いて閉じていた目をゆっくり開ける。
広がる世界は、ぼやけた曖昧な世界で。
見ている世界が正解やけど正解ではなくて。
自分の身体ひとつだけで踏み出すことはできひん、脆い世界。
…あーまた嫌なこと考えてるやん。
ネガティブ思考も大概にしろってしょっぴーに再三言われてんのに。
ブンブンと頭をふっても考え始めたらなかなか思考が消えへんのが人間の構造らしい。
こういう時、僕はいつも歌を歌う。
歌う時だけは、嫌な事も忘れられるから。
近くに人の気配がないことを確認してから、ゆっくりと歌い出す。
『〜〜♪』
目をつぶって歌うと、僕が弱視ってことは忘れられる。
みんなと違うってことも忘れられるねん。
ぽかぽか陽気の昼下がり。
気持ちよく歌ってしまってた僕は、遠くから駆け寄ってくるその音に気付けんかった。
「っ、あの！！」
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雪 .(プロフ) - kosameさん» kosameさん 心温まるコメント頂きありがとうございます！優しいコメントに感謝しますTT楽しみにして頂けるだけで執筆の糧になります…2人がハピエンになることは私も願ってます！(笑)頑張りますので今後とも応援宜しくお願いします。 (2022年1月29日 23時) (
レス) id: 11c8e42471 (このIDを非表示/違反報告)
kosame(プロフ) - 初めまして！いつもお話楽しく読ませて頂いてます(^^)お話メッチャ好きです！今後めめこじの2人がどうなっていくのか楽しみです！勝手にめめこじハピエンになってと祈ってます！これからも主様のペースで更新頑張って下さい！お話の更新楽しみに待ってます！ (2022年1月29日 19時) (レス) id: aeb0d54ce7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪 .
| 作成日時：2021年12月22日 23時
