毒舌彼女 (ページ20)

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ツイてない × YOU ページ20

暫く待ってると
ホントにスンリさんは迎えに来てくれた。

｢すいません。わざわざ｣

｢いいって！帰っても暇なだけだし！｣

あなたにお暇なんて、あるんですか…。

珍しいこともあるもんだ。と
遠慮なく後部座席に乗った。

｢隣でも良かったのに｣

｢それは遠慮しておきます。｣

万が一、誤解でもされたら…
なんて思うと、ぞっとする。

あの世界のスターの隣に
地味でダサい女が座るんだよ？

一緒にいるってだけで大問題だよ。

バタンとドアを閉めると
同時に雨も強くなった。

送ってもらえてよかった…。
今日はツイてるのかもね。

なんて心の中で思う。

ミラー越しにスンリさんを見ると
スンリさんもミラー越しに私を見つめながら
｢俺、電話してよかったねー｣と笑った。

目が合うなんて思ってもみなかった。

ドキッと心臓が高鳴って
とっさに目を逸らした。

私、2回目だよね、スンリさんの車に乗るの…。

なのに。なんで緊張してるんだろ。
心臓がバクバク鳴って…おさまらない。

なにこれ。

私がまるでスンリさんのこと
好きみたいな…………

いや、ない。

ないない。

男が苦手な私が？
少し優しくされたからって
コロッと惚れちゃうもんなの？

赤信号で止まった車。

スンリさんが後ろを振り向く。

｢Aちゃん、どこらへんで降りる？？マンションの前でいい？｣

｢え、あ……｣

なによ…
こんなの、あんまりだ……。

｢Aちゃん？｣

｢すいません。もう、降ります｣

｢え！？｣

私はカバンを掴んで、車から飛び出した。

スンリさんに嫌な奴だって思われたかもしれない
でも、耐えられなかった。

スンリさんが振り返った時の
甘い、香水の香りに。

なんだ……私、好きなんだ。
スンリさんのこと。

飛び出したくなった程
泣き出しそうになる程

好きになってたんだ。

｢ほんっと、…………ツイない｣

雨は容赦なく、私の身体を叩きつけた。