願い事 3［学園アリス］ (ページ8)

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22話ページ8

翼｢で、今度は何溜め込んでんだよ。｣

仮退院で久しぶりに一緒にいれる要君の傍にいたいはずなのに、
こうして私の事を優先してくれる優しい翼に、
私はどうしても甘えてしまう。

貴『、、感情が、上手くコントロールできなくて、
困ってる。』

私がそう言えば、翼は一瞬眉間に皺を寄せた。

翼｢、、A。
感情はコントロールするもんじゃねーだろ。

それにお前の場合、それは抑え込もうとしてるだけだ。
んな事しなくていいんだよ。｣

翼にそう言われ、『でも、、』と渋る私を、
翼は片手で抱きしめ直すと
優しく笑いかけながら頭を撫でてくれる。

翼｢要がさ、お前のことすげー心配してたんだ。

最近、お前よく入院してたろ？
体調が良い時、病室こっそり覗きに行くと、泣きそうな
顔して外を見つめてるAをよく見る、、って。

んで仕方ないから出直して夜病室に行けば
そこはもぬけの殻で、
また朝か昼になるとお前が入院してる。

お前の担当医に話を聞いても、黙秘される、って。｣

翼の言葉に、私はまた黙り込んでしまう。

まさか要君にバレてるなんて思ってもいなかったから。

翼｢お前はさ、確かにしっかりしてるし、
多分俺らが思ってるよりも先を見て行動してる。

その分今を我慢しがちなんだろうな。

でもな、A。
お前が今思ってる気持ちを大切にしてやれんのは、
お前しかいねーだろ。

泣きそうな顔するくらいなら、
お前が今全力で笑える事してくれた方が俺は嬉しい。
たまには後先考えず、感情に従って動いても
バチは当たんねーよ。｣

後先考えず、、か。

貴『翼、、。

後先考えず行動して罰貰ってる翼には
言われたくないんだけど。』

翼の目の下にある罰則印を指でﾁｮﾝｯとつついて、
翼の腕から飛び降りる。

地面に落ちている薪を拾って翼を見上げれば、
｢反抗期かこの野郎～｣なんてまた頬をｳﾘｳﾘされてしまう。

貴『ｱﾊﾊ､反抗期じゃないしっ！』

薪を両手に持って翼から逃げれば、
翼も残った薪を拾って私の後を追って来た。

ベアの小屋に着く前、小声でﾎﾞｿｯと『ありがと。』
と呟けば、翼は無言で頭を撫でてくれるから。

2人で小屋に戻れば、要君と目が合って、
ﾌﾜﾘと笑ってくれる。

このお兄ちゃん達には叶わないな、と思いながら、
私はぬいぐるみに囲まれてる流架の隣に座った。

貴『流架、一緒に棗探しに行こ。』

私がそう言えば、流架は優しく笑ってくれる。

夜になる前に、3人で居たい。