願い事 3［学園アリス］ (ページ6)

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20話ページ6

零｢特に、毛色の違った子猫なんかは｣

棗｢それはそっちが勝手にパートナーにっ！｣

慌てたように声を上げる棗に、零は視線を戻す。

零｢それは校長の本意とは違う。
せいぜい気をつけるんだな。｣

ｸﾞｯと体を強ばらせた棗を後ろから見て、
私は何も言えなかった。

零｢、、A、お前は来なさい。

お前が裏切るとは校長も考えていないが、
お前は棗に甘いからな。

棗の変化を見過ごしたお前に、校長から話がある。｣

ﾊﾞｯとこちらを振り向いた棗の顔を見れば、
酷く傷付いている様な、、そんな表情で。

何も言わずに、棗から視線を外して零を見る。

貴『、、私を呼び出す理由なんて、今更必要？』

私の言葉に、零はﾌｯと笑って言った。

零｢いや、要らないな。

お前は私と同じ、、
この学園の闇の中でしか生きられない化け物だ。

飼い猫とは、訳が違う。｣

そう言って行ってしまった零の後を追うように
私も歩き始めるけど、
棗がｸﾞｯと顔を顰めて私を見るから。

貴『棗、、あんまり気にしないで。

気に食わないのは本当だろうけど、
何かしようとは思ってないと思うから。

それから、、私の事だけど』

棗｢俺はお前から離れるつもりは無い。｣

棗の強い意志を感じて、私は思わず固まってしまう。

、、零は態と、あんな言い方をしたはずだ。

棗が私と、距離をとるように

それに、その時がくれば辛いのは棗だから。

貴『、、棗。
棗は言うほど、私の事知らないでしょ。

棗が学園に来た時の会話、覚えてる？

私、言ったよね。
ここでは誰も、信用しない方がいい、って。』

そう言った私に、棗は何か感じ取ったのか

確かに1歩、後ずさった。

棗はそのまま何も言わないから、

私が歩き出そうとまた前を向けば、
ﾊﾟｼｯと腕を掴まれてしまって。

ｸﾞｯと力の強まる腕に、
私の心臓がｷﾞｭｯと掴まれたようで、怖い。

燃えるような瞳が、私を射抜く。

棗｢お前が言うように、俺はお前をそれ程知らない。

、、なら、少しづつでも知っていくまでだ。

たかだか2年くらいの付き合いでも、
あの日の涙が嘘じゃないって事くらい、分かる。

今はそれで、十分だ。｣

これ以上、棗の顔を見る事が出来なくて。

空間交換で無理矢理その場から離れれば、
ﾊﾟｯと見えたのは零の背中。

私はその背中にｷﾞｭｯと抱き着いて、
零れた涙には気付かないふりをした。

零｢A。｣

分かってる。

この気持ちは捨てるべきだって。