21話 ページ31
秀｢Aも行くのか。｣
真っ直ぐ私を見下ろす秀一君に、私は視線を逸らさず頷いた。
秀｢殿内が抜けたそこの4人が、穴を見つけたところで何かが出来るとは思えない。
自己満足で敵を追いかけるというだけなら、
そんな危険な賭けに僕らは乗る気はない。
A、何故態々危険を冒してまで一緒に行こうとする？
君は絶対に単独で動いた方がいい。
、、その身体で、この子達を守り自分を犠牲にするつもりかい。
この子達の不在を学園側に誤魔化せるのは、もってせいぜい2日間。
自由に動き回れる君と違い、敵を追いかけ、無事怪我もなく学園にも知られず、目的を達成し確実に学園に戻ってこられる勝算はあるのかい？
、、君が、死なずに。｣
蜜柑や殿が息を飲んだのが伝わってくる。
死なずに、か。
死ぬ気は無いよ、一応ね、、。
秀一君の前で微笑んで見せると、
ｷﾞｭｯと後ろに引っ張られ、棗の腕の中におさまった。
棗｢俺がこいつを死なせるわけねえだろ。
誰にモノ言ってんだ、テメェ。
俺が行くんだ、勝算のねえバクチだと思ってんのか。
それに、流架もいる。｣
棗の強気な言葉に、こんなにも安心してしまうのは何でなんだろう。
棗の言葉に、流架も驚いたように、でも嬉しそうに、真っ直ぐと棗の方を見ている。
棗｢この影ヤローについてはしらねーがな。｣
ｶｯﾁｰﾝと聞こえるはずない翼のキレる音が聞こえて、
｢俺はおめーが暴走した時、影踏んじばって学園に強制連行してやる係だよ！ああ？！ムシかコラ！｣なんて早口で言っているのを棗はガン無視で蜜柑の方を向いた。
棗｢おい、お前はどうなんだよ。｣
蜜｢ウチは、、｣
少し考える素振りを見せた蜜柑が、
ゆっくりと、でもハッキリと、私達に向かって言葉を紡ぐ。
蜜｢ウチは、皆を守りたい。
ウチの無効化で、アリスの攻撃から少しでも皆を、、
皆を守るっ！｣
蜜柑の言葉に、殿は何処か照れくさそうにふ〜と息を吐いた。
殿｢、、正直言うと、お前らをここまで連れて気さえすりゃ、
どーせ穴なんか見つかるわけないだろーし、
Aも本気で行かせる気は無いだろうし、
諦めるに決まってるってたかくくってたとこあったけど、
ハラくくるか、、。
お前ら、目的達成の成否に関わらず、必ず無事期限内に帰ってくると誓え。
Aのアリスは、なるべく使わずに、、だ。
俺はお前らの約束履行の為の人質だ。
もしもの場合は、俺が全責任をかぶる。
こいつら、行かせてやってくれ。｣
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作者名：紅97 | 作成日時：2021年1月30日 5時
