願い事 1 [学園アリス] (ページ49)

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5話ページ49

ｺﾞﾎｯ、、

焼けつくように熱い喉に耐えきれず出した咳には、
これでもかというほど赤黒い血が混じっていて。

右手に留まりきらなかった血が
ﾎﾟﾀ、、、ﾎﾟﾀ、、、と零れるのを眺めながら、
朦朧とする意識を何とか支えていた。

流石に長距離の空間交換は、
今の私にはキツすぎたみたいで。

零は今棗を罰しているから、きっとここには来れない。
校長だって帰って行ったから、月さんが来る事も、
もちろん先生や危力系の人だって用がない限り来ることは無い。

あーまずったなぁ、、

どうにかして、自分の部屋か病院に、、

ここは本部だから、
同じ敷地内にある病院くらいなら行けるかもしれない。

早く棗の元に行きたいのに。
その為に戻って来たはずなのに。

予想以上に言うことを聞いてくれない自分の体に、
もう時間が無いことを悟る。

パーカーで乱暴に床に垂れた血を拭き取り、
集中する為にふぅーーっと長く息を吐いた。

鳴｢Aちゃん、、？

っ！！この血、どうしたのっ？！｣

ｶﾞﾀﾝｯと大きな音がして、
ナルが慌てて私の元へ駆け寄ってくるのがぼんやりと見えた。

良かった、、、人、いた

人がいたことに安心して手放してしまった意識のせいで、
ナルが何故校長に用があったのか、、

考える余裕も無く、私は気を失った。

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目を覚ますと、私にアリスを使う先生の姿が見える。

貴『、、、相変わらず、酷い隈、、』

私が声を出すまで起きたことに気付いていなかったみたいで、
少し驚かれた後ため息を吐かれた。

医｢全然来ないと思ってたら、
こんなボロボロで運ばれてきて、、。

まだ寝てな。
あんたが鳴海先生に運ばれてきてから、
まだ1時間しか経ってない。｣

1時間も気失ってたんだ。
ナルに悪いことしたなあ、きっと凄く驚かせたよね。

貴『先生、ありがとう。

でもね、、、眠れないの。』

私が素直にそう言うと、
先生は一瞬ﾋﾟﾀｯと動きを止め、
また何事も無かったかのようにアリスを使い始めた。

医｢強い睡眠薬、出しとくから。

、、きっと夢も見ずに、朝を迎えられるよ。｣

その後は、先生も私も、一言も話さなかった。

長い長い沈黙の間、私はただじっと、
先生が寝ずにアリスを使い続けてくれている姿を見つめていた。

鳴｢Aちゃん、、、起きてたんだね。｣

空が少し明るくなってきた頃、
ナルが静かに部屋に入ってくる。

その真面目な顔に、
罪悪感で、押し潰されそうになった。