40話 ページ42
貴『私の過去って、
、、それ、本当ですか？』
必死に表情を保とうとするけれど、
きっと私は今情けないくらい真っ白な顔をしているだろう。
指先の感覚が無くなっていき、
ﾎﾟﾛﾘとお菓子が私の手から零れ落ちる。
野｢はい、本当です。
、、すみません、貴方がそんなに取り乱すとは思わなくて。
でも、勘違いしないでください。
どうやら誤解していたのは僕達の方だ。
、、貴方が何をしたいのか、教えてくれませんか？
こちら側に味方がいた方が、
Aさんにとっても良いでしょうから。｣
真っ直ぐに私を見つめて、
そう言ってくるのだっちに、私は不思議に思う。
この人は嘘をつくような人じゃないし、
お人好しだとは思っていたけど、、私の味方になる？
それは先生に、どんなメリットがあって？
冷や汗が垂れるのを感じながら、私は慎重に口を開く。
貴『味方、とは、、どういう事ですか？
過去を見たなら、私がどちら側か分かっているはずです。』
そう言った私に、
のだっちはもう一度私に優しく笑いかけてくれる。
野｢そんなに警戒しないでください。
過去を見たうえで、
私はAさんがこちら側だと思ったんです。
それに、鳴海先生から日向兄妹の話も聞きましたよ。
鳴海先生はまだ貴方のことが分からないと言っていましたが、
僕はその話を聞いて
貴方を助けなくては、と思ったんです。
今まで1人で、辛かったですね。｣
そんな風に言葉をかけてくれたのだっちが、
段々とぼやけて見えなくなる。
、、あれ？
私、泣いてるの？
貴『あ、、、。
なんて、言えばいいのか、、
分からないんで、、すけどっ、、、』
ポロポロと涙を零す私に、
｢ゆっくりで構いませんよ。｣と言ってくれるので、
深呼吸して自分を落ち着かせる。
貴『ふ〜、、
すいません、泣いて、しまって、、。
私が何をしたいか、でしたよね、、？』
｢はい。｣と頷いたのだっちを確認して、
私はもう一度深呼吸をした。
貴『私は、、
零っ、、えーと、
芹生先生に、育ててもらって。
大切な人って、芹生先生しかいなかったんです。
でも、学園に入学したら、沢山の人と、、出会って、、
優しく、してもらって、、
今まで、何が良い事なのか、悪い事なのかなんて、
考えた事もありませんでした。
、、見たんですよね？私の過去。
あの日、地下牢で、自分の母親を、、。
あの時から、私はただの犯罪者で、
学園の為に生きていくよう、育てられました。』
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作者名：紅97 | 作成日時：2021年1月20日 17時
