願い事 1 [学園アリス] (ページ38)

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36話ページ38

『棗の任務をなるべく減らして下さい。
私に回してくださって結構なので。』

そうお願いしてから、もうだいぶ時は経った。

あの日、、
棗を病院に連れて行ったあの日。

流架の泣いた後の赤い目と
絶望したように下を向いている棗が
どうしても目に焼き付いて忘れられなかった。

棗の任務同行についてはもう許可が下りないと零に言われたから、
ならせめて棗の任務が減るように、
私に回して欲しいと校長先生に頼みに行った。

零は私がそうすることに対して怒っていたみたいだけど、
結局私が校長先生の元へ行く時は着いてきてくれた。

それから、それまでの学校生活が嘘だったかのように
また私は任務漬けになって。

棗も1人で任務をこなしているようで、
零がたまに棗の任務について教えてくれたり、
病院の先生が棗の体調について教えてくれたりもした。

変わったことは、2つ。

1つめは、私が学校へ行ける日の前日に、
棗の部屋に手紙を送るようになったこと。

学校へ行ける日が極端に減ったし、
長期任務が入ることも多々あるせいで
部屋に私が居なくて何度も待ちぼうけをくらったらしい。

任務が続いていた日の夜、
棗と流架に部屋の前でガン待ちされて怒られたので
学校に行く前日は、棗の部屋に手紙を送る約束になった。

別に待たなくていいのに、
と言えば2人から睨まれたからもう言わない。

それでも、私が学校に行ける日は
相変わらず棗が部屋の前でノックもせずに待っていて、
その後流架と合流するのが当たり前になっているから
ちょっぴり嬉しい。

そして2つめは、流架の階級が上がったこと。

流架はアリスの制御もできているし、
初等部にしてはなかなか強力な方ではあると思うけど、
階級の上がり方がおかしい気がした。

何より本人がそれを気にしている。

｢棗の足を引っ張ってるのかな｣
と言われた時は『そんな事ないよ』って言ったけど、
学園にこんな使われ方したんじゃ、
そんな風に考えちゃうのも無理ないと思う。

現に私なんかの言葉じゃ上手く慰められなくて、
なんだか2人ともふさいでいく一方で、、。

お先真っ暗だなぁ、なんて思いながら、
久しぶりに体調が良いので気分転換に北の森をのんびり歩く。

ｸｲｯとスカートを何かに引っ張られた気がして下を向くと、
そこに居たのはぬいぐるみのベアだった。

貴『わ～ベアっ！久しぶり！！』

抱き上げてｷﾞｭｯとすると、お日様の匂いがする。
されるがままのベアを暫くもふもふしていた。