願い事 1 [学園アリス] (ページ4)

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2話ページ4

4日後、連絡があり向かった先はかなり田舎の方だった。

下校時間だろうか、町を歩く小学生の姿も見える。

ちょっとだけ、普通に笑っている子達を見て羨ましいなぁなんて思うけれど、
すぐにその感情を掻き消すように黒いパーカーのフードを被り直した。

顔を覆い隠す白い仮面が見えたままだと不気味がられるから、
まだフードを被って下を向いて歩いた方が良い。

街を見渡せる丘の上に着くと、
同じように白い仮面をつけた零がこちらを見つめていた。

お互い仮面はつけてるけれど、
目を合わせないようにしながら彼の横に並ぶ。

零｢体調を整えておけと言ったはずだ。｣

そう冷たく言った零に、ﾋﾞｸｯと思わず反応してしまう。
隣に立つ彼はもうこちらを見ていないはずなのに、
鳥肌がｿﾞﾜﾘとたった。

この人には全部お見通しみたいで、痛む頭が更にｽﾞｷﾘと音をたてた気がした。

でも、言い訳くらいさせて欲しい。

貴『別に、これくらいなら大丈夫だよ。
それに、どちらかというとこれ、、、罰則面のせいで体調悪い。

でも外でこれ外したら校長先生に怒られるでしょ？？
私のアリス、ただでさえ消耗激しいのに制御アイテムに罰則面なんてつけられたら任務失敗しそうで、、緊張して眠れなかったの。

もう吐きそうだよ～頭痛いし！』

ﾊｧ、と短いため息を吐いた零が、
私の頭をひと撫でするとこちらを向いた。

零｢今回の詳しい能力データは、重要な説得材料になる。

石を使ったのは兄ではなく妹の方だが、任務は変わらない。

最小限の犠牲は私達の知るところではない。
最も、今回は私達が直接手を下すわけじゃないからな。｣

貴『！！待って。
兄ではなく、妹、、？

耐えきれるわけない！死んじゃうよ？！』

思わず声を上げてしまった私に、冷たい声で彼は言った。

零｢最優先すべきは、日向棗の危険能力系への手引きだ。｣

最小限の犠牲。

そんなの今までだって多く払ってきた筈だ。
なんなら、この手で。

だから、この気持ちは

抑えなきゃ、いけない、、、

いまだに慣れないこの感覚に吐き気がした。

冷たい手が私の右手を包み込む。

大丈夫。

貴方が隣に居てくれるなら、私は怖くないよ。

貴『分かってる、、、。
私の仕事は、この町に炎を広げるのを手伝えばいいんだよね。

ちょっと範囲は広いけど、、』

零は繋いでいない方の右手で、
私についているピアスとイヤーカフを外してくれた。

きっとそれは、
誠意一杯の、彼の優しさ。