28話 ページ30
流｢A？！その腕っ、、！｣
私の流血に気付いた乃木流架君がそう声を荒らげたので、
反射的に左手で右腕を隠すように掴んでしまう。
貴『い゛っ、、！』
あー馬鹿、自分で傷触ってどうすんだ、
やばいめっちゃ痛い。
左手を離し、自分を落ち着けるように
ふ〜と息を吐く。
貴『ごめん、ちょっと集中力乱して失敗しちゃった。
そこまで酷くないから大丈夫だよ。
2人は怪我、無いよね？』
そう聞けば、2人ともｺｸﾝと頷く。
はたから見ただけじゃちょっと心配だったけど、
本人達に確認もできたし嘘をついている様子もない。
あー、ほんと良かった、、
ともう一度安心して、
机の上に置いてある痛み止めを手に取った。
ｺﾞｸﾝｯと飲み込む音がやけに部屋に響いて、
さっきから後ろで何も言わない2人の方に振り返る。
貴『私、腕治してもらいに病院行くから、
2人はもう部屋に戻りな？』
そう声をかけ部屋の外に出ようと歩き出すと、
ﾊﾟｼｯと左腕を掴まれた。
後ろを振り向くと、私の腕を掴んでいたのは棗で
その瞳はやっぱり、熱く燃えているみたいに綺麗で。
棗｢、、、｣
何も言わない棗を前に、
早く病院に行きたいから我慢できずに声をかけてしまう。
貴『棗？あんな噂気にしなくていいからね。
幹部生に対しての不満なんて、
学校行事で実力見せたらすーぐ消えるから。
でも、危力系である限り、
ほかの生徒から虐げられる事はこれからあると思う。
特に中等部なんて思春期だかなんだか知らないけど、プライド高い奴ばっかだし。
初等部はバカなのか、何にも考えてないのか、
それとも怖くて言えないのか分かんないけど、、
むしろ好意的に接してくれてるから。
思ったことすぐ口に出しちゃうアホばっかだけど、
スルーしてればすぐ忘れるよ。』
怪我してる方の右手でゆっくりと棗の腕を掴んでおろし、
今度こそ、とドアの方に向かった。
ｶﾞﾁｬｯ
とドアを開けた瞬間、
棗が後ろで｢A。｣と声をだしたので
動きを止めて振り返る。
棗｢クラスメイトがお前に好意的なのは、
お前の人柄だろ。｣
随分優しい顔して言ってくれるので、
私も痛みを忘れて微笑んでしまう。
貴『ﾌﾌｯ。何それ。
ねぇ、心読みから聞いたんだけどさ、
棗ってめちゃくちゃリスペクトされてるらしーよ！
裕からは、スミレが棗と乃木流架君のファンクラブ作ってる〜なんて話も聞いてるし。
2人が学園に来てくれて、A組の皆凄く楽しそう。
ありがとね。』
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作者名：紅97 | 作成日時：2021年1月20日 17時
