願い事 1 [学園アリス] (ページ29)

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27話ページ29

最近、周りが騒がしい。

噂話をされてる様な、そんな感覚。

私は普段から周りを気にするタイプでもないし、
放課後の続く任務や地下牢への行き来、
病院での定期検診など、なんだか日常が忙しい。

だから自然と学校に居る間に睡眠を取る事が多くて、どうやら棗も同じようだった。

起きると隣の棗も寝ている事が多かったから、
私は3人でいても気にせず眠るようになった。

だから気付かなかった。

私が寝ている間に、
その噂は乃木流架君や、棗の耳に届いていて、、

ｶﾞﾀﾝｯ

と立ち上がる音がして目を覚ます。

大きな音に吃驚して音の出た方を見れば、
それは隣の棗だった。

貴『え、棗、、？

なに、どしたの。』

なんか凄い怖いオーラなんですけど、、
と思って黙って見ていれば、
いつもタイミング良く来てくれる心読み。

ありがとう、、
今日も説明よろしく、、。

心｢Aちゃん。
最近中等部で出回ってる噂があるんだ。

最近入学した幹部生は、人殺しだ、って。｣

『は？』と思わず声を上げてしまう。

棗の奥から、｢何も知らないくせにっ、、！｣と呟く声が聞こえた。

隣を見れば、いつもは熱く燃え上がるような目なのに
今は芯から冷えるような、そんな冷たさを棗から感じる。

棗のこんな目、見たくない。

貴『、、、何それくだらない。

私の時もグダグダ言われたよね、確か。

自分より歳下のやつが幹部生でいるのが気に食わないんでしょ？

実力無いくせに、
正面から言えないからって影でコソコソとっ、、。』

怒りに身を任せそうになって、
思わず大きくため息を吐いた。

ダメだ。

私が感情的になれば、
アリスが暴走してしまうかもしれない。

自分のアリスが危険な事はよく理解してるつもりだから、
クラスメイトを傷つけてしまう行動は避けたい。

拳をｷﾞｭｯと握りしめて、目を瞑った。

棗も乃木流架君も動かないから、
空間交換するなら今だ。

ﾊﾟｯとクラスメイトの声が聞こえなくなる。

目の前は、見慣れた部屋の中だった。

ｽﾞｷｯ

と右腕が痛んで視線を向ければ、
肘から下の制服が破かれたように消え、
腕は数ヶ所、何かに抉られたような大きな傷。

あー、、失敗した、、、

と思うも、そばにいる棗や乃木流架君は怪我してなさそうだからほっとする。

自分はいいけど、勝手に連れてこられた2人が怪我してたら
ごめんじゃ済まないもんね。

でも、良かった。

痛みでだんだんと怒りがおさまってくるのを感じる。