21話 ページ23
ちょっとは心開いてくれたのかな〜、
なんて思いながら、広いだけの部屋で寝転がっていた。
貴『棗、、棗、、棗、、、
ﾌﾌｯ！呼び慣れてきた！』
同い歳で、同じ危力系で、同じ幹部生。
今までこんなに一緒の子なんて現れなかったし、
任務で休みがちなのもあるけど、
本当の意味で仲良くなれる子なんてある意味いなかった。
それに特別って目で見られるのはあんまり好きじゃなくて、
別に悪い意味じゃないのに皆と凄く距離を感じて。
何も知らないで仲良くしてくれてるけど、
やっぱり身近に理解してくれる子ができるのかなって思ったら、凄く期待してしまう。
嬉しいな〜なんて思って、
明日の学校がちょっと楽しみになった。
こんな気持ち久しぶりだな。
要君や翼、美咲ちゃん達に良くしてもらった時とはまた別のドキドキ、、
皆私の事甘やかしてくれるけど、
棗には頼られたいなって、漠然とそう思った。
これはきっと、校長や零にとったら良くない感情なのはなんとなく分かる。
でも、人ってあったかいから。
温もりを感じたら、その温もりが欲しくなってしまった。
零も、
瑠衣ちゃんも、要君も、翼も、
のだっちも、ナルも、美咲ちゃんも、
のばらちゃんも、スミレも、心読みも、
、、、棗も。
頭に思い浮かぶ人達は、皆この学園で、生きててくれている。
人って、生きてるから。
心ってあったかくて面白くて、みーんな違うから。
零は好きじゃないみたいだけど、私はそのぬるま湯に浸かっていたい。
アリスをもって、ここに生まれてきたこと。
色んな人に出会う度に、楽しくて、幸せだなって思わせてくれる。
だから、私に幸せを教えてくれたこの学園の皆が、
幸せになって欲しい。
いつか現れるかな、皆の幸せを届けてくれる人。
汚れてしまった手を空にかざして、ちょっとだけ悲しくなった。
自分じゃ叶えられない願いを人に託すなんて、あまりにも無責任か、、、。
ま、現実逃避なんていつでもできるか、
と思い直して、立ち上がり机に向かう。
机の上には、あの日病院で先生に貰った、
眼球の仕組みが書かれた紙。
分かりやすいように図が描かれてるから、これならできるかもしれない。
罪を償えるわけじゃないけど、これくらいしたってバチ当たらないよね、、？
私は紙を持って、深呼吸をする。
ふ〜っと息をゆるく吐いて、目を開けばそこは行き慣れた地下牢だった。
ｶﾀﾝｯと音がして、女の子が振り返る。
｢あなたは、誰ですか、、、？｣
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作者名：紅97 | 作成日時：2021年1月20日 17時
