願い事 1 [学園アリス] (ページ16)

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14話ページ16

この部屋にはなんだか生気が無い。

歩いている時は小鳥の鳴き声だとか、
太陽の光だとか、自然を感じてたけど、、
この部屋に入った時から、嫌な静寂に包まれている。

それでも私は此処が結構気に入ってるし、
落ち着くのは何でだろう。

私と零が、下で育ったからかな。
未だにこの地上の光が眩しいと、何度も思うことがあるから。

零｢今日の任務に棗はもちろん連れて行く。
昨日の単独潜入の様に、失敗の無いように。

時間が空くから、病院に行ってこい。｣

零の言葉を、ぼんやりと聞いていた。

今日は確か、ちょっと情報盗みに行くだけの任務だった筈だし正直余裕だろう。

連日でバトりたくないしな、
なんて思いながら部屋の外へ出るためにｸﾙﾘと体の向きを変えた。

貴『あ、、
そういえば日向棗君のアリスのかたちって何なの？』

病院というワードで何故か思い出した私は、零にそう尋ねる。

零はﾁﾗﾘとこちらを見たあと、何のことは無いように答えた。

零｢お前と同じだ。｣

へぇ、、それはちょっと良くない話だね。
まあ聞いといて良かったか。

貴『、、じゃー今度病院にも連れて行かなきゃね。』

今度こそ部屋を出ようとドアノブに手をつけた所で、
もう一度零の声が聞こえた。

零｢A、馬鹿な事は考えるなよ。｣

昨日と同じように、
『はーい』とゆるく返事をしながら部屋を去る。

病院へ向かう途中、私は零の言う馬鹿な事を考えていた。

きっと、全てじゃないけど零は私がどうしたいか気付いてるはずだし、
アリスを私の意思で他人のために使う事にあまりよく思ってないんだろう。

でも、任務は言われた通りにやるし、
別に逆らってる訳じゃないから許して欲しい。

、、いや、最終的に逆らってることになっちゃうのかな？

まいっか、
とりあえず病院の先生に目の仕組みについて良く聞いてみよ。

病院は本部の敷地内にあるから、とても近くて助かる。
昨日みたいに長時間歩くのはもう勘弁、、と思っていると、よく見知った顔が前から歩いて来た。

要｢あれ、Aちゃん。｣

貴『要君、やほ。今日は凄い体調良さそうだね？』

B組の要君は3年前までA組で一緒にいたし、
要君を通して翼と仲が良くなったくらい、お世話になった。

アリスのかたちが私と同じだから心配してたけど、
久しぶりに元気そうな姿が見れて良かった、と思う。

要君の優しい笑顔を見ると、凄くほっとした気持ちになる。
なんて思っていると、ﾌﾜｯと頭を撫でられた。