願い事 1 [学園アリス] (ページ12)

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10話ページ12

とても鋭い日向棗君の目に睨まれながら、
私はなるべく落ち着いた声が出るよう喉に祈った。

貴『こんなこと私に言われてもって感じだと思うけど、、

学園に従え、なんて言いたくないし、
かといって逆らえとも言えない。

ただ、逆らって危険にさらされるよりは、
感情に蓋をしてでも従順なふりをしてた方が
まだ幸せだよっていう話。

ま、仲間だなんて急に言われても困るよね！

でもそれでいいと思うよ。
ここでは誰も、信用しない方がいい。』

まさか出会ってすぐこんなに真面目な話をする事になるとは思わなかったけど、、

でもこれは言っておきたかったし、
任務が始まる前に、
誰の監視も受けず話せたから良しとしよう。

そう自分の中で完結させて、
未だに私の腕を掴んでいる彼の方を見た。

貴『ね、ここで話してても仕方ないし、案内してもいい？』

まだ睨まれているのは変わっていないけれど、
わざと明るく声をかける。

日向棗君はﾕﾙｯと私の腕を離すと、もう何も言わなかった。

貴『無言は肯定と取るんだって～！
ナルが言ってた！！』

さ、行こ！と体の向きを変え歩き出した私の後ろから、
確かに足音が聞こえてくる。

道中は無言だったけれど
日向棗君は私の1歩後ろを離れることはなかったから、
安心して案内する。

幹部生の紹介はほぼ無言で無事に終わったが、、

本部で集まっている危力系の皆の元へ着いた時の、
後ろにいる日向棗君の雰囲気が怖い。

いや、確かに警戒させるようなこと言っちゃった気もするんだけど
皆そんな風に威嚇し合うのやめてくれ～。

私の願いは虚しく、
ニコニコした瑠衣ちゃんに嫌な予感がした。

瑠｢やだやだAちゃん～～！！
どこでそんな生意気そうな子猫拾ってきたの？｣

うわぁ、最悪、、と思うが、
危力系で喧嘩は絶対に起こして欲しくないし、
これ以上私の責任にされても頭が痛い。

貴『日向棗君は私と同い歳だし、
階級も同じだから暫く行動は共にしろってペルソナからも言われてる。

だから日向棗君に用があるなら私を通してね～。』

颯｢は？｣

不満！！と顔にしている颯は無視して、
日向棗君の腕を掴み歩き出す。

貴『そゆことだから、、
これから私任務だし、皆余計な事しないでね？』

ﾆｺｯと効果音がつきそうなくらいわざとらしく、
ナルの笑顔を意識して顔を向けた。

颯｢あいつほんとに8歳かよ、、。｣

なんて声も聞こえるけど、無視無視！

私は日向棗君の腕を引っ張り、部屋を出た。