短編-35 (ページ5)

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終わらないでランデブーページ5

デートからの帰り道。
犬を散歩する人やベビーカーを押して歩く人、子供たちの笑い声が響き渡る大通りを大ちゃんと歩く。昼間、太陽の光で温められたアスファルトを少しぬるい風が撫でる。

俺と大ちゃんは行き交う人々にまぎれ、静かに歩みを進める。あんなにも楽しかった大ちゃんとの1日はあっという間で、この大通りを抜ければ、大ちゃんとはさよならしなくちゃいけなくなる。

別に、今生の別れじゃない。明日だって会おうと思えば会える。何なら明後日は同じ仕事が入ってる。でも離れ難いんだ。

大ちゃんも同じ気持ちかな？なんて思っちゃうのは2人の歩く歩幅が狭く、繋がれた手は離れようとしないから。

「…風が、きもちいね」
そう呟いた大ちゃんの柔らかい髪の毛がふわりと風に揺られてる。
その瞳はきらきらと輝いていて、まるで綺麗な宝石のよう。このまま、この時間が続けばいいのに。なんて考えていたら

「ちょっとだけ、遠回りしてこうよ。」

オレンジ色の陽に照らされた大ちゃんが提案する。「…何だかいのちゃんと、さよならしたくなくなっちゃった。」そう柔らかく微笑む彼を

俺は

ますます帰したくなくなっちゃうじゃん

俺らの後ろには２つの影が寄り添うようにどこまでも長く伸びている。