短編-35 (ページ4)

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この意味、ちゃんと伝わってる？今、俺の中で大人しく抱かれてる大ちゃんに届いて欲しい。俺の可愛いは、大ちゃんの『可愛い』で出来てるんだよ？

「ねぇ、大ちゃん。これからはもっと俺にも『可愛い』て言って。『可愛い』も『カッコいい』も大ちゃんから貰えば特別になるし、頑張れるし、可愛くなれるから。」

大ちゃんの柔らかな髪を耳にかけ、頬を寄せ囁く。顔は見えないけど、くぐもった声で「…ん、わかった。」と、俺の背中に腕を回す大ちゃんに心が安らぐ。

そんな俺らのやり取りをずっと見ていた山田に「伊野尾ちゃん、顔緩みすぎ」と揶揄われたってなんて事ない。メンバーに「大貴にデレデレじゃん」だの「伊野尾のご機嫌直った？」だの好き勝手言われたって気にもかからない。

何たって今は大好きな大ちゃんの言葉でいっぱいだから。

「…じゃあ、いのちゃんも俺に『可愛い』をちょーだい？」
俺の胸に顔を埋めていた大ちゃんが身じろぎ顔を出す。その瞳はいつもよりうるんでいて、恥ずかしげに頬を染めていた。

「俺も…いのちゃんの『可愛い』が特別、だから…」と、とんでもなく可愛い恋人のお願いに、俺は「いつだって幾らでも何度だってあげる！」と、まだ少し赤い頬をそっと包み込み、優しく唇を重ねる。

再び俺たちの楽屋はガヤガヤとした盛り上がる声に包まれた。