俺の義弟は名探偵だ。【名探偵コナン】

377 あなたside ページ27

｢おいおい、その変にしとけよ｣





お願い。



本当に早く来て。







｢本当に死んじまったか〜？｣


このままじゃ、




本当に…





｢息はまだある、それにずっと腹を抑えてるんだ。



子を守ろうとなぁ



なら、打った方が早いか？｣




すぅーと目を開ければ、バットを振り上げている所


今度こそお腹に当たる！



右腕を盾にするよう、前に出す。振り降ろされたバットは右腕に強く打たれた。



ﾎﾟｷと変な音と激痛が走る


｢ｯﾁ｣




｢でも、その出血じゃ｣







娘を守るためなら腕1本ぐらいくれてやる







｢もって、1時間か｣






窓辺から薄い光が見える。


朝、か




｢最期になりそうだ、

おい、警察庁宛に送ってやれ｣




周りの環境は、とても静か。都心から離れた場所


数時間に一本の新幹線が通る音


川の音


隙間からちらりと見える鉄道橋



DVDを警察庁まで送ったのだから、関東地方と見ていい



この条件に当てはまる場所は、群馬の碓氷第三橋梁


てことは、ここの外は山や森


隙を見て外に出れればなんとか…




大丈夫、出来る。


自分なら出来る。





警察庁に送るであろうDVDを持っている男の後ろを這う




｢おいおい、まさか…逃げるつもりか｣


男の手が伸びてきた瞬間、


立ち上がり、力を振り絞って扉に向かう








ﾊﾟｧﾝと足に激痛が走る





撃たれた足は前に1歩を出して膝から崩れ落ち、視界が歪む


ﾎﾟﾝとお腹を蹴る、


お腹の子だ。




そう、私は今ひとりじゃないの



2人なの。


だから、何をしてもここから出なきゃいけない、



それだけの一心で、前に1歩を踏み出し、走り、無我夢中に走る。


まるで、背中を押されているように。




扉の光を辿り、開ける。






｢追え！｣




外は全体に緑と茶色



自然だ




｢殺してもいい！捕らえろ！｣




久しぶりに外を見た、もう二度と戻らない。



帰るの。

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