忘れじの記憶9 ページ9
辰哉side
ラウールくんの病室から出て、蓮の病室に戻るまで、蓮はずっと黙ったまま。
ベッドの上に腰を下ろすと、蓮はまた、黙ったまま。
辰哉「……蓮。何かあった？」
蓮「なんで？」
辰哉「だって、さっきからずっと暗い顔してる。」
蓮「そんなこと…」
辰哉「あの2人のこと見て、思い出しちゃった？うちの母親のこと。」
蓮の眉がぴくりと動いた。
蓮「………少しだけ。なんて言うんだろ、嫉妬とか羨ましいとかじゃなくて、…憧れっていうの？」
蓮は俯いたまま答える。
蓮「ああいうの、俺らにももちろんあったはずのことなのに、今じゃ全く思い出せない。ああいうふうに愛されているって、すげーことなのかなって。純粋に、憧れた。」
蓮がラウールの年になる頃には、母親は豹変してしまっていたから、優しい時の記憶も薄いのかな。
辰哉「そっかぁ。うん、まぁそうだよなぁ。」
サラサラと頭を撫でると、恥ずかしげに笑った蓮。
あまり追い討ちをかけたくはなかったけど、どうしても聞きたかったことを尋ねる。
ここ数日はそのことでモヤモヤしていて、それを聞くためにも今日ここに来た。
辰哉「なぁ、蓮。聞きたいことあるんだけどいい？」
唐突なことに驚いた顔をしつつ、蓮は頷いた。
辰哉「うちの母親、ここに来たって照に聞いたんだけどさ…」
蓮「その時俺に会って、何を言ってたかって？」
図星すぎて何も言えない。
蓮「兄貴、ここ最近そわそわしてる感じあったし、多分岩本先生から聞いてるんだろうなーって。」
辰哉「あぁ、うん、そう。………っだぁぁ〜、分かっちゃってたか〜。」
緊張の糸が急にプツリと切られたような感覚。
辰哉「嫌ならいいんだけどさ…兄貴として知っておきたくて…。いざという時、蓮を守れるようにもね。」
蓮「どういう意味？笑まあいいよ。俺も話そうかなって思ってたし、ちょうどいいや。」
なんて笑いながら、ひと呼吸置いて、蓮は口を開いた。
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白林檎(プロフ) - ﾂﾅﾏﾖさん» こちらこそ、最後までお読みいただきありがとうございました！無事完走できました！ (2022年7月30日 9時) (
レス) id: c971cdea3b (このIDを非表示/違反報告)
ﾂﾅﾏﾖ(プロフ) - 完結おめでとうございます！素敵なお話を本当にありがとうございました！ (2022年7月30日 7時) (レス) id: 733eb035f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白林檎 | 作成日時：2022年5月14日 17時
