また春が来て、2 ページ33
蓮side
支度をしながら、移植手術後の方を思い返す。
……一般病棟に戻った時、康二がすごく泣いてた。
「よかった、よかった。」って泣きじゃくりながら俺の手をぎゅうっと握ってきた。
パニック起こしちゃってたって。
康二、何度も言わせんなよ。
俺はそんな簡単に死なねえって。
……手術前より顔色の良くなった兄貴が、優しく笑って抱きしめてくれた。
「よく頑張ったね」って、すげぇうれしかった。
過労で倒れたって後から聞いて、申し訳なさがあったけど、でもそれ以上にありがとうって思った。
今度は兄貴の力になれるように、俺も頑張るから。
とはいえ、あと1年は俺は受験で無理かもだけどさ。
・
・
蓮「行ってきます。」
1人呟いて、外に出る。
まだ肌寒い中、桜の木がピンクに色づき始めた。
春の知らせを感じて、息を吸い込む。
ふうっと吐いて、歩き出す。
蓮「翔太ー、おはよ」
俺が呼ぶと、私服姿の翔太が俺の方に振り向く。
翔太「おー」
軽く返事をした翔太は、今年から大学生…と言うわけではなく、俺と同じ受験生。
第一志望に落ちてしまい、滑り止めに入学するか随分悩んで、俺と約束した第一志望にやっぱ行きたい！と、親を説得して浪人をすることに決めたらしい。
翔太「まぁ、俺ら色々あったけど、やっと2人で同じとこ目指せるな。」
蓮「そうだな。…改めて。『第一志望、翔太と同じ大学に受かる！』」
翔太「ふはっ、うし。『俺も、第一志望、蓮と同じ大学に受かる！』」
お互いに胸をトンと叩いて、俺たちは、歩き出した。
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白林檎(プロフ) - ﾂﾅﾏﾖさん» こちらこそ、最後までお読みいただきありがとうございました！無事完走できました！ (2022年7月30日 9時) (
レス) id: c971cdea3b (このIDを非表示/違反報告)
ﾂﾅﾏﾖ(プロフ) - 完結おめでとうございます！素敵なお話を本当にありがとうございました！ (2022年7月30日 7時) (レス) id: 733eb035f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白林檎 | 作成日時：2022年5月14日 17時
