君の心臓が生まれ変わっても6 ページ30
辰哉side
辰哉「………分かった。」
そんなに真剣な眼差しで見られたら、俺も渋々でも頷くしかなかった。
照「よし。…………ちょっと、話いい？」
辰哉「なぁに、まだあるのぉ？」
体は重いのに、思いの外すっきりとしている意識。
照「ある。…………蓮、助けられてよかった。もちろん、まだまだ油断は禁物だけど、でも、蓮が生きる道を開けたような気がしてさ。」
照が少し微笑みながら窓の外を向く。
照「俺、蓮に言われたんだ。『死ぬのが怖い』って。蓮を見てきて、初めての弱音だった。」
俺も知らない出来事に、ひゅっと喉を鳴らした。
照「けど、諦めずにいてくれて、あいつの体は何とか持ち堪えてくれた。だから、今があるんだよな。」
“年を越すのは厳しいかもしれない”
いつしか照に言われたことを思い出す。
そうだな…
蓮、頑張った。だから、今が、不可能かもしれなかった今が、あるんだよな。
辰哉「照、ありがとな。」
照「なにが。」
今度は照が素直じゃなくて、2人でふはっと吹き出した。
辰哉「ね、そういや康二は？」
照「あぁ…」
一瞬照の顔が曇る。
照「ふっかが倒れた後、ちょっとパニックになっちゃって。でも、今は落ち着いてる。」
辰哉「まじかあ……。俺、情けねぇの。康二んとこ、行ってやらねぇと。」
照「だめ。寝てなさい。」
辰哉「でも、」
照「康二も別の先生が見てくれてる。今、お前ら兄弟に必要なのは休息だ。みんな、ここまで死ぬ気で駆け抜けてきた。だから今は、休んでいいんじゃねぇのか。」
照の言葉は、何だが胸に重く刺さった。
照「蓮、起きたら呼ぶからさ。それまで寝てな。」
辰哉「………ん。」
照が病室を出る頃、窓の外には太陽が昇っていた。
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白林檎(プロフ) - ﾂﾅﾏﾖさん» こちらこそ、最後までお読みいただきありがとうございました！無事完走できました！ (2022年7月30日 9時) (
レス) id: c971cdea3b (このIDを非表示/違反報告)
ﾂﾅﾏﾖ(プロフ) - 完結おめでとうございます！素敵なお話を本当にありがとうございました！ (2022年7月30日 7時) (レス) id: 733eb035f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白林檎 | 作成日時：2022年5月14日 17時
