人生の岐路に1 ページ22
蓮side
雪がちらちらと降る窓の外をぼんやりと眺める。
体は重く、ベッドから身を起こすことが億劫になるとは、4月の頃には思いもしなかったよなって。
発作は何とか抑えられているけど、身体が不調なことに変わりはなくて、俺あとどれくらい生きられるのかなって、タイムリミットを考えてしまう。
窓の外の景色が滲む。
岩本「蓮、どうした？」
定期的に様子を観にくる岩本先生に、俺は問われる。
蓮「うん…」
溢れてくる涙を拭くことすら億劫だ。
涙は頬を伝ってぼたぼたと流れていく。
岩本「話、聞くよ？」
ベッドサイドのパイプ椅子に、岩本先生がトンと腰を下ろす。
蓮「こんなこと考えるほど、柔な俺じゃないって、思ってたんだけどさ」
岩本先生は俺をまっすぐに見つめてくる。
その視線とは交わらぬよう、俺は天井を眺める。
蓮「俺、後どれくらい生きられるのかなって…。諦めてるわけじゃ無い…けど、やっぱりさ、ドナーが見つかることって容易じゃないし、沢山の想いも、リスクもあるから。」
そこまで言って口をつぐむ。
重い腕を上げて、涙を拭く。
ごしごし、強く擦ったら良くないだろうけど、視界を遮断するために馬鹿みたいに擦った。
蓮「俺、……死ぬの怖えよ。」
真っ暗な暗闇で、自然と口をついて出た。
頭を優しく撫でられたような感覚。
岩本「うん。……俺、蓮に何もできないのが悔しい。蓮を死なせたくない。………でも、待つか、その場凌ぎの治療か、それしかできない。」
まだ、頭をふわりふわりと撫でられる。
岩本「でも、俺は諦めないよ。蓮に、生きてて欲しいから。……ゆっくり寝な。泣くと、結構疲れるからな。」
椅子から立ち上がる音、その後、病室は静寂に包まれた。
俺も、ゆっくりと意識を手放した。
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白林檎(プロフ) - ﾂﾅﾏﾖさん» こちらこそ、最後までお読みいただきありがとうございました！無事完走できました！ (2022年7月30日 9時) (
レス) id: c971cdea3b (このIDを非表示/違反報告)
ﾂﾅﾏﾖ(プロフ) - 完結おめでとうございます！素敵なお話を本当にありがとうございました！ (2022年7月30日 7時) (レス) id: 733eb035f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白林檎 | 作成日時：2022年5月14日 17時
