決別の時3 ページ15
辰哉side
『……てめぇ…』
汚い言葉で、俺を呼ぶと、ポケットからきらりと光る刃を取り出して俺に向けた。
そしてそれは本当に一瞬で、勢いに任せた母親が俺に飛び掛かってきた。
一箇所に集まる熱。
辰哉「……っ…」
ドクドクと何かが流れていくような感覚、血の気が引いていく。
照「おまえ！」
照が母さんを力強く押さえつける。
いつのまにか警察まで駆け込んできて、大混乱だ。
蓮「兄貴！」
蓮がベッドから飛び降りてくる。
辰哉「あぁ、大丈夫大丈夫…ちょっと腕切られた。」
蓮「ちょっとどころじゃ無いよ」
血は止まりそうもない、止血しなきゃなんだけど、もう頭真っ白だよ…
警察に取り押さえられ、去っていく母親。
入れ替わりに来た照に止血してもらう。
蓮「岩本先生、兄貴これ大丈夫なの？」
岩本「すぐ手当すれば大丈夫。ふっか、処置室行くよ。」
出血からか、貧血気味になる俺。
やべー、くらくらする…
照「ふっか、めまいする？」
辰哉「うん…わりぃ…」
ヘラヘラ言ってみるけど、照の顔は至って真剣。
結局ストレッチャーで運ばれたのである。
・
・
全てのゴタゴタを回収するにはまだ時間がかかりそうだけど、これだけは約束された。
もう、母親に会うことは無いと。
辰哉「蓮、康二、俺のこの判断でよかったのかな…」
今日は蓮のお見舞いに康二も来た。
そんな中、俺は柄にもなく弱気に尋ねる。
蓮「その判断じゃなきゃダメだったよ。笑」
優しく笑う蓮は、今日は体が怠いらしく、ベッドに横たわったままだ。
康二「自信持って！兄貴！」
屈託なく笑った康二。その表情の端くれにはつかれのようなものも感じ取れた。
辰哉「2人とも、ありがとな。」
2針ほど縫った腕には未だに包帯を巻いたままで、その腕を厚手のコートの上からさする。
そして目線を上げ、今度は蓮と康二の頭をくしゃくしゃと撫でる。
2人は照れ臭そうに笑った。
父さん、あの時蓮を守ってくれてありがとう。
母さんを守ることはできなくて、こんな形になってしまったけれど、許してほしい。
今、母親と決別の時。
外で木枯らしがピューと吹いた。
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白林檎(プロフ) - ﾂﾅﾏﾖさん» こちらこそ、最後までお読みいただきありがとうございました！無事完走できました！ (2022年7月30日 9時) (
レス) id: c971cdea3b (このIDを非表示/違反報告)
ﾂﾅﾏﾖ(プロフ) - 完結おめでとうございます！素敵なお話を本当にありがとうございました！ (2022年7月30日 7時) (レス) id: 733eb035f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白林檎 | 作成日時：2022年5月14日 17時
