忘れじの記憶1 ページ1
蓮side
うん、まだ調子はいい方だ。
朝目覚めて、なんとなくの感覚から今日の体の善し悪しを感じる。
喉を通らなくなりつつあるご飯を必死にかき込んで、漸く静かな時間が訪れる。
切り取られた窓の外を見ると、柔らかい日差しが街を包んでいた。
季節は秋へと変わり、中庭では紅葉が色づいた。
俺だけが取り残されたみたいに、真っ白な空間の中にいた。
「お兄ちゃん！」
勢いよく開いた病室の扉、その向こうにはラウール。
蓮「おう、元気だったか？」
ラウ「そこそこ。」
さっきまでの威勢は何処へやら、すぐに小さくなってしまったラウールを手招きする。
ラウールはいつものように俺の膝の上に座った。
蓮「どうかしたか？」
薬の影響か、パサついた髪の毛をやんわりと撫でて聞く。
ラウ「あのね…ぼく、こんどしゅじゅつすることになったの。」
小さく言ったラウールは、肩を震わせた。
蓮「そう…なんだ…」
小さい頃、俺も心臓の手術を何度かしているから、今のラウールの気持ちがよく分かった。
ラウ「ねてればおわってるらしいけど、ぼくはやっぱりこわい。」
胸に顔を埋めてきたラウールをきゅっと抱きしめた。
蓮「ん、怖いよな。……俺、応援してるから。手術前も会いにいく。」
ラウ「ほんと？」
濡れた瞳を揺らしながら、俺をまっすぐに見つめた。
蓮「うん。ゆびきりげんまんするか？」
ラウの小さな小指と俺の小指が絡み合って、ゆびきりげんまんをした。
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白林檎(プロフ) - ﾂﾅﾏﾖさん» こちらこそ、最後までお読みいただきありがとうございました！無事完走できました！ (2022年7月30日 9時) (
レス) id: c971cdea3b (このIDを非表示/違反報告)
ﾂﾅﾏﾖ(プロフ) - 完結おめでとうございます！素敵なお話を本当にありがとうございました！ (2022年7月30日 7時) (レス) id: 733eb035f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白林檎 | 作成日時：2022年5月14日 17時
