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「良かったね、舘様。」
夜に迷惑をかけたお詫びに阿部のお店へ。
蓮は幸せそうに寝ていたので俺一人。
「まあ、何とか別れずに済みましたよ。阿部にも迷惑をかけたね。」
軽く飲みたかったから、ハイボールを頼んだ。律儀にグラスに入れて、球体の氷も付いてきた。
「迷惑だなんて大袈裟だよ。そういう律儀な所が舘様が愛される所以だよね。」
「言っておくが、君には靡かないよ?これでも、俺は蓮に情熱的な告白をしたばかりですから。」
俺はハイボールに口を付ける。
喉越しが良い。
阿部独自の配合が堪らない。
これが好きだから、ついつい、お酒を飲んでしまう。ほんのり、顔が赤いのは気の所為だろうか?
「それを俺に打ち明ける舘様は凄いと思うよ。」
何故、引かれるのだ。
ちゃんと線引きをしているだけだが…?
「蓮…いや、他人の気持ちを汲み取るのは難しいと改めて実感しましたよ。」
「もしかして、舘様は恋人としての実感が湧いてきたってこと?」
「それは分からない。ただ、蓮を悲しませたくは無い。和菓子絡みで、彼を叱った時に悲しませるのは別に構わないと思っていますが、それ以外で蓮を悲しませたくは無いと思うんですよ。」
愛のある言葉なら、叱るのは仕方無い。
あくまで俺は兄でもあるからね。
「弟くんが聞いたら、嬉しいだろうなぁ。それだけ、想われているって事だからね。ちょっぴり、弟くんが羨ましいよ。」
「…ん?それは…どういう意味だね?」
「舘様のこと、弟くんみたいに好きだったんだよ。」
「…っ、な、何ですか!いきなり。」
思わず、顔が赤くなる。
お酒のせいもある。
そうだ、そう思うしかない。
「ここだけの話だよ。」
「あ、当たり前だ。これを蓮に話せる訳が無い。」
「でも、弟くんと争う気は無いから俺はそっと身を引いたんだよ。二人の恋愛を応援したいんだ。」
「……それで…阿部は大丈夫なのかね?」
「ふふっ、舘様がそれを言う?浮気なんて絶対、ダメだからね?」
「心配は無用らしいね。ここでキスでもしてきたら、憩いの場が、居心地最悪の場に変わり、二度とお店に入らなくなるだけです。」
「それは俺としても最悪の展開だね。」
阿部は優しく笑う。
それにしても、本性が見えない。
そもそも、本性とかあるのかも分からない。裏表が無さそう。
「出来れば、ずっと、通い続けたいのだが…。阿部を信じているよ。」
「勿論。舘様と弟くんの仲を壊すつもりは微塵も無い。」
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赤雪(プロフ) - あきさん» パスワードを外して、公開いたしました。まだ、二話のみですが、宜しくお願いします!! (2022年10月31日 21時) (レス) id: e2d8ee24ac (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - そうだったのですね。楽しみに待ってます (2022年10月29日 22時) (レス) id: 3ef54a4269 (このIDを非表示/違反報告)
赤雪(プロフ) - あきさん» コメントありがとうございます!本編作成中のため、現在、パスワードを設置している感じです。二、三話作りましたら、開放するつもりなので申し訳ございませんが、少々お待ちくださいませ。 (2022年10月29日 22時) (レス) id: e2d8ee24ac (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - 移行おめでとうございます。移行先のパスワードが分かりません。教えて頂けると嬉しいです (2022年10月29日 22時) (レス) id: 3ef54a4269 (このIDを非表示/違反報告)
赤雪(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます!めめだて、良きですよ!更新がマイペースで申し訳ございませんが、完結まで頑張りますので宜しくお願いします!! (2021年3月5日 15時) (レス) id: 486c201f1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤雪 | 作成日時:2021年2月24日 0時