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ep.13 ページ13

YOUside



「…実は、すごく会いたいって思ってました」



今まで押さえ込んでいた気持ちは

いとも簡単に口から溢れた。



と同時に車内が大きく揺れ、




「ごめんなさいね、対向車が…」

タクシーの運転手さんの声なんか

全然聞こえてこない。



触れた指先には全神経が集中して、これ以上

近づくことも離れることもできない




「ねぇ、期待してもいいの?」



私の顔を覗き込む彼、


さっきまで触れるくらいの指先が


いま、重なっている。




もう引き返せなくなる、私は焦って

重なっていた手を抜こうとすると



「だめ…

今だけだから…ごめん」




そんな擦れた声が切なくて苦しくなる。



引き止められた手は、

ゆっくりとお互いの指先が絡んで

大我さんの方へと持ってかれる。







どうして好きになってはいけない人を

好きになってしまうんだろう…



大我さんは窓の外をぼーっと眺め



綺麗な鼻筋や長い睫毛、顎のライン

暗がりに浮かび上がるその整ったお顔は


映画のワンシーンを見ているみたいで…

すっかり見惚れてしまう。




「俺のこと好きじゃない?」



相変わらず窓の外を見ながら、彼は聞く




「…答えられないです」



「ひどいなぁ…」



「ごめんなさい」



「いや、俺の方こそごめん…Aちゃんの事になるとほんと余裕なくなるわ」




好き、


大好き、



本当は伝えたい。






「やっぱり、」



繋がれた手はゆっくりほどかれ、



「2人きりで会うのやめようか」




街並みのネオンに照らされた大我さんの目は赤らんでいた。





「え…」



散々、自分は大我さんの気持ちを

受け入れないように逃げていたくせに


いざ自分がされたら、ひどくショックを受けるんだ。





「はい、お客さん着きましたよ」





気付いたら、私は玄関の前に立っていて



さっきまでの出来事が嘘みたいで、

あの後、どんな風に大我さんと

別れてきたのか分からない。






一晩中、大我さんのあの時の表情が

頭から離れなくて…


メッセージをいれても返信は無かった。




嫌われてしまったのかな。


そうだよね、最低な女だと思われたよね





これで良かったんだ。





そもそも最初から交わるはずのない2人




引き返せなくなる前に…って








もう、全然引き返せないほど好きなのに。

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作者名:Mey | 作成日時:2020年9月4日 22時

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