むらさきくんとしろくん (ページ8)

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: 大人の階段のぼるページ8

(fk)

〝相手は高校生だからね、落ち着いて〟

そう言った阿部ちゃんの言葉が頭を巡った

今日は付き合ってから初めてラウールが俺の家に泊まる事になった。今までは遅くならないようにラウールを家に帰していたけど、泊まりたいと言い出した彼のお願いをどうも断る事が出来ず、今に至る

ああ、神様、俺は耐えれるのでしょうか

お泊まりが決まった瞬間、楽屋でラムネを食べていた阿部ちゃんに相談した。てかラムネ好きすぎじゃね？
そんなぼりぼり食べるもんなの？

「俺襲っちゃうよ」

ため息と共にそんな言葉を吐くとあのあざとい阿部ちゃんの顔が史上最強に歪んで〝恋人同士だし、良いと思うけど程々にね〟と言った。

そして冒頭の言葉も追加された。

「わーい、お泊まりだあ！」
「ほら、手洗ってこい」
「はあい！」

そんな俺の葛藤なんぞ知らない本人は嬉しそうで、
どんだけピュアなんだよと更に頭を抱えた

「ふっかさん、一緒に寝ようね！」
「え？！あ、ああ、そうだな」
「んふふ」

困ったもんだ、17歳の恋人は天使のような顔で
一緒に寝ようって。28の俺は理性を保つので精一杯だよ。

「よーし、寝るかー」
「ふぁぁ…」
「おいでラウ」
「んー…」

大きな欠伸をしながら俺の隣に入ったラウールは
長い手足で俺をホールドした。

「おい、抱き枕じゃねえよ」
「ふふ、俺専用～」

距離がグッと近づいて、ぱっちりな目で俺を見た

「ねえ、辰哉くん」
「んー、……え？！たつやって、お前」
「へへ、いいでしょ？俺の彼氏なんだからあ」

それは考えてなかったから待ってくれ
今にもキスしたい、でもしたら終わる
己の脳内へ必死に〝耐えろ〟という言葉を送り続けていたその時、「ちゅーして」と彼が言ったのだ。

思わず黙ってしまうと、拗ねた顔

「してくれないの？」
「いや、するよする…」
「恋人って、その先もするんでしょ？」
「は？！」

ほっぺをぷっくり膨らまして完全に拗ねているラウは
申し訳ないが可愛い

いや可愛いって言ってる場合か、俺

「俺辰哉くんに初めてあげたいんだあ」
「おまえ…」
どこで覚えたんだその台詞

気づけば彼の上に跨っていた俺

「ラウが言ったくせに顔真っ赤じゃん」
「いや…だって、カッコいいんだもん…」

なんて可愛いんだ

「めめにね…相談したの…そしたらさっきのやつ言えって…」
「ああ～」

阿部ちゃん、君の彼氏をしばいといてくれ

「俺にラウの初めて頂戴」

一緒に大人の階段登ろうか