むらさきくんとしろくん (ページ17)

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: 君と出会ったのはきれいな星空の下ページ17

一般人パロ
(fk)

「何が華金だよ」

ボソッと呟いた言葉はあっという間に夜の冷たい風の中に消えた。
今日は金曜日で残業なんて絶対しない！と決めたのは朝で今の時間は夜の10時。

「クソ～」

後輩の仕事を手伝ってしまったのが間違った。
いや、間違ってはないけど。
困ってる後輩を放っておく事は俺にはできなかった。
華金だしビールでも買って早くゲームしよーと思ってたけどそれは叶わずにトボトボと家まで歩く

家の近くに本当に小さな公園がある
公園と言っても遊具は無いし砂場だけだしベンチはあるけど2人用一個。
いつもは興味無いのに今日だけは何となく入りたくなって公園に足を踏み込むとベンチには先客？

この時間に？
2人用だし座れないじゃん、と思って静かに去ろうと思ったその時後ろから声をかけられた

「おにいさん！」
「え？」

公園のランプに照らされた俺を呼ぶ人は俺よりもかなり若い男…いや、男の子…？

「えっとお…なに？」
「あっ、呼び止めてごめんなさい、急なんですが…俺を家に置いてください！！！！」

そう言って凄い勢いで頭を下げたその男

「……は？」

いやいや、ドラマか？漫画か？
なんかで見たことある気がするけど何かは忘れた。
初対面の人に〝家に置いてください〟は流石にヤバイじゃん。

「あの…怪しいとは思うんですが…怪しくはないんです！あっ、いや怪しいはずなんですけど…」
「うん、落ち着いて、とりあえず怪しいのは確かだけど」
「本当に少しの間家に置いてくれるだけで良いんです、家事も何でもするので！あ、料理は…包丁使った事なかったから練習からですけど…」

もう暮らす前提で話してるし、包丁触った事ないのは危なすぎるから触らせられないぞ

やめろ俺、こんなんほっとけ
早く帰ってゲームしろよ

目の前には唇を噛み締めて俺を見る男。

こんなん、放っておけって…

「あーーーとりあえず寒いし話聞くだけだから、うち行こう…」
「本当ですかっ？！」
「いや、話聞くだけっていうか「ありがとうございます！！！！！」

パアッと笑った彼は不覚にも可愛いと思ってしまった
こんな奴怪しいに決まってんのに、

「いいよ、とりあえず帰ろう」

こんなんだから華金に後輩の世話してるんだよな

俺の後ろをちょこちょこついて来る男は
「星綺麗だなあ～」と呟いた

星なんて見なくなってたな

「本当だ」

謎の男と出会ったのは綺麗な夜空の下