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(ab)

「はあ～」

受付にいると、

今日は来ないのかななんて考えてしまって

岩「おい、どした」

「へっ？あ、なんでもないです」

上司の岩本さんに不思議がられた

岩「あのハーフの子、来ないな」

「ああー、ラウールくんですか？
彼、バイトが忙しいらしいですよ」

岩「ふうん、そっか」

「寂しそうですねえ」

岩「ちげえよ、あいつ面白かったから」

そう言った岩本さんは微笑んだ

ラウールくんに2回ほど会っていて、
初対面で〝凄いかっこいいですね！〟とか言ってくれた彼が可愛くて仕方ないらしい

岩「阿部は誰を待ってんの？」

「いや…」

年下を好きになってしまいました、

なんて言えないしな

岩「へえ、年下を」

「はい……え？！は？！」

岩「すげえ声に出てたぞ」

岩本さんはニヤニヤしながら手で口を押さえた

「うああ…」

一目惚れなのか、わかんないけど

初めて会った時から惹かれたものがあって

こんなに人を好きになったか初めてで

岩「阿部らしくいけば大丈夫」

そう言って頭をぽんっと撫でた岩本さんは

見かけのいかつさとは真逆の柔らかい笑顔をした

ピロン

「ん？」

突然鳴った電子音

スマホを見ると【目黒蓮】

「あ…」

岩「もしかして噂の？」

「…はいっ」

〝今日、夕飯一緒にどうすか？〟

「岩本さん…っ！」

岩「おお？おー！誘われてんじゃん。

今日は定時ぴったりに帰りな、片付け俺やるから」

「え、でも」

片付けをすぐ終わらせれば良い事だし…と
考えていると、岩本さんはニヤッとした

岩「阿部が恋してんの嬉しいからさ」

康二と同じ様な事言ってるし

「じゃあ…お言葉に甘えて」

仕事が終わるまで後数時間

〝良いよ！17時には終わります〟

そう送ると、直ぐに既読がついた

〝わかった。図書館で待ってて〟

「うわあ…ふふ」

岩「ニヤけすぎ、はい仕事」

「はあい」

なんだか、恋人みたい

ちょっとくらい浮かれても良いよね

「早く会いたいなあ」

ちょっとくらい、期待しても良いよね