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第77話 ページ6

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その夜、Aは日記に書いてあった通りにダイアモンドを磨き、月の光がよく当たる窓辺に置いた。

そして、強く祈った。


「本当に成功するのかな…それに、行けたとしても優羽はそこにいるとは限らないし…」


Aはそう思いながら吸い込まれるように眠りについた。





夜午後三時。

Aは、眩しい光で目を覚ました。

窓辺を見ると、ダイアモンドが紫色に妖しく光っていた。


「な、なにっ!?」


Aは怖くなり、机の上にあったペーパーナイフを握りしめてダイアモンドに向けた。

次第に光が強くなり、Aはあまりの眩しさに目を閉じた。



しばらくして光がおさまったころ、Aは目を開いた。

そこは、見慣れた自分の部屋…ではなく、どこかのステージの舞台裏のようなところだった。



……コツ…コツ…



足音が聞こえる。

Aはハッとして握りしめていたペーパーナイフを足音が聞こえる方角へと向けた。


「だ、誰」


Aは震えた声で言った。


「あまり警戒しなくても良い。俺は君に危害は加えない」


そう言って現れたのは、紅の髪に紅の瞳の美しい少年だった。

男性にしては、身長は少し低い。

年は少し下くらいだろうか。

それにしては、ずいぶんと圧倒される雰囲気を放っていた。

雰囲気には大人さえも黙らせるようなカリスマ性を強く感じさせるものがあった。


「…もしかして君は…」

「池田A…です」

「!…そうか……」


Aが名乗ると、少年は驚いたように少し目を見開いた。

少年はAに

「ついておいで」

と微笑みかけた。


Aは警戒をしながらも、歩き出した少年についていった。




……コツ……コツ…




二人の足音だけが鳴り響く。


「…ここだ」


少年はなにもない壁の前で止まった。

少年は壁に手を当てた。

すると、壁が光り、赤色の扉が現れた。

少年は扉を開けた。


「…わ……!」


Aはおもわず声を漏らした。

扉の向こうには、賑やかな町が広がっていた。

少年は「こっちだよ」、とAの手を引いて人ごみの中をスイスイと歩いていく。

歩くこと10分くらい。

たどり着いたのは、大きなお屋敷だった。


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作者名:威風堂々 | 作成日時:2016年7月18日 17時

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