第73話 ページ1
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…春。
出会いの季節。
池田 Aは、大きな桜の木がある、人気の少ない公園で昼寝をしていた。
桜の木、といってももう葉桜になってしまっているのだが…。
「……あ、お姉ちゃん起きた〜?」
5歳くらいだろうか。
肩までの茶髪の少女がAの顔を覗き込んでいた。
どこにでもいそうな少女、しかしそんな少女にAは惹かれた。
少女はにこ、と笑うと
「お姉ちゃん、お名前は?」
と言った。
「え?あ…えっと……池田、A。池田Aだよ」
気付くとAは、その見知らぬ女の子に名前を教えていた。
「Aお姉ちゃんっていうの?うわぁ、すっごく良いお名前だね!」
「えっと、貴方は?」
「私の名前?忘れちゃった、覚えてないや」
少女は無邪気な笑顔で言った。
「じゃあ私が名前つけてあげる。
''優羽''でどうかな?」
「……優羽?……素敵!Aお姉ちゃん、ありがとう!」
Aは微笑を浮かべながら手を差し伸べる。
「一緒に行こう、優羽。貴方の面倒、私が見てあげる」
子供ゆえか、無邪気な笑顔でを浮かべてAの手を取る優羽。
照れ臭くなったAはプイッと顔を背けた。
それがAと優羽の出会いだった
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作者名:威風堂々 | 作成日時:2016年7月18日 17時