不思議な空気を纏う人 ページ16
You side
午前の授業を終えて、よく行くブックカフェへ。
今のうちに出来る限りの課題を終わらせないと。リハまでの数時間でどれだけ出来るかな。
ちょっと行儀悪いけど、沢山の本や資料を広げながら食事も。お昼時なこともあって結構混みあってて罪悪感…。
ふと顔を上げるとトレー片手にキョロキョロしている人が。もしかして席探してるのかな。どうしよう、占領しててごめんなさい…。
ってあれ、ん？もしかして…？
『みず…、あ、梅津、さん？』
梅津「え？あ…、花那だ。」
『お久しぶりです。あの、席探されてますか？』
梅津「久しぶり。ん、空きがなくて。」
『相席でもよければ、ごめんなさい、ちょっとまだすぐ離席出来なくて…。今片付けますから。』
梅津「ああ、全然いいよ。ありがとう。じゃあお邪魔します。あと名前、前と同じでいいよ。」
『はい、瑞樹くん。』
梅津瑞樹さん。
ちょっと前まで映画の撮影でご一緒して。それ程共演シーンが多かった訳では無いけれど、文学や芸術に明るくて面白くて、本が好きって共通点があったおかげで距離を掴めた。不思議な、優しい空気を纏う人。
梅津「花那は？課題？」
『時間がある時に出来ることやらないとと思って。』
梅津「あまり根詰めすぎないように。前みたいな覇気が感じられないよ。」
『なんかちょっと余裕がないかも、しれないです…。』
梅津「それ締切近いの？」
『どれも月末です。なんですけど、ここ最近急に仕事が入ったり変更があったりすること多くて…。』
梅津「ちょっと借りていい？」
瑞樹くんは渡したプリントに目を通すと、おすすめの作家とか文献を教えてくれる。
亮平さんとはまた違う、知識の広さ。
瑞樹くんから紡がれる文章は、難解なようで分かりやすくて、とても面白い。私も、こんな風に美しい言葉を紡げる人になりたい。
梅津「とりあえず今日はもうこれはやめにしよう。何より、そんなに眉間にしわ寄せて読んでも疲れるだけだよ。」
『う…、そうですよね。今度教えて貰った本探してみます。それで改めて考えてみます。』
梅津「花那ならそれ程難しい課題じゃないと思うよ。ちょっとまってて。」
レジの方に向かった瑞樹くんは、ドリンク片手に戻ってきた。
梅津「はい、差し入れ。じゃあ僕は稽古に行くね。相席してくれてありがとう。」
『こちらこそありがとうございました。』
梅津「またね。」
いただいたアイスレモネードの甘さに心安らいだ夏の午後。
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恵蓮(プロフ) - 毎話楽しいお話ありがとうございます！これからも更新楽しみにしております (8月19日 23時) (
レス) @page42 id: 151ed770d1 (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - あべちゃんとの関係が1番好きでほっこりしました☺これからも更新楽しみにしてます！ (6月3日 16時) (レス) @page6 id: e49244e76b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑠奈 | 作成日時：2023年5月31日 16時
