偏愛 (ページ9)

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午前の授業が終わって、お昼休み。

授業と言っても、新学期だからオリエンテーションで殆ど時間が潰れた。

田中「疲れた…春休み遊びまくったからまだ体が勉強を拒否している」

松村「それいつもじゃん」

『こればかりは樹に同感。来年は嫌でも勉強しなきゃいけないんだから今年はやりたいことやろう』

田中「そうだ！そうだ！」

松村「1年後泣きついてきても知らないからね」

北斗の一言でハッとする。
…来年は受験生か。

勉強は下から数えた方が早いし、特にやりたいこともない。
北斗や樹、周りのみんなはきっと大学に進学するんだろうな。

夢も目標もない私は、
大学に行っても今と同じ無気力な生活を繰り返すのだろう。
それなら大学に行かず、働いた方がいいのでは…

まあいいか、まだあと1年以上先の話。
今はまだ楽しいことだけをしていたい。
私、華のJKだし。

これ以上将来のことを考えると
負のループから抜け出せなくなりそうなので
考えることをやめた。

田中「北斗ってなんでそんな頭いいの？」

松村「ちゃんと授業聞いて家で復習すれば自ずとこうなります」

田中「聞いててもわからん！」

『英語とかもはや呪文』

松村「あなたたちの将来が心配…」

北斗のママっぷりが炸裂。

そんなこんなでいつものように3人でお昼を食べようとしていると、お弁当を持って教室を後にする京本くんの姿が目に入った。

『っ、ちょっと急用思い出した！今日はふたりで食べて！』

田中「えっ何事？てかなんで昼飯持っていくんだよ！」

気づいたら京本くんを追いかけていた。

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